FDA、EMA 薬剤関連PML研究で協力
公開日時 2011/08/25 04:00
米食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)は、7月25~26日に開催した合同会議で、薬剤関連PML(進行性多巣性白質脳症)の共同研究を進めることを決めた。FDA、EMAはPML研究を他の疾患と薬剤関連副作用の解明につなげる考え。
PMLは希だが重篤な疾患で薬剤の副作用としても発症する。EMAでは、2008年7月以降今年7月14日までに、市販後副作用報告で146例のPMLを確認している。このほか、臨床試験で3例(多発性硬化症2例、クローン病1例)が報告されている。
FDAのGerald Dal Panサーベイランス・疫学部長は、「一般的に薬剤関連副作用は患者の服薬拒否につながるので、今回のPMLの研究は非常に重要」とPML研究はその研究に留まらず、薬剤副作用と患者コンプライアンスに関わる問題との認識を示した。
PMLは免疫抑制剤、多発性硬化症(MS)治療薬などで発症する場合がある。バイオジェンIdec/エランのTysabri(natalizmab)は初めてPMLを社会問題化させ、2005年初めにPMLを理由に米国市場から撤退した。また、ジェネンテクのReptiva(efalizmab)は2009年にEUでの販売承認を保留、のちに米国では市場から撤退した。
ジェンザイム/サノフィのMS治療薬Lemtrada(alemtuzumab)、ヤンセンバイオテクのリウマチ治療薬レミケード(インフリキシマブ)、ロシュ/バイオジェンIdecの抗がん剤リツキサン(リツキシマブ)などについて、現在、FDA、EMAがPMLとの関連について検討している。しかし、PMLとの関連を疑われるモノクローナル抗体ばかりでなく、コルチコステロイド、シクロフォスファミド、フルダラビンなども検討されている。EMAでは、「企業が協力的なので励みになる」とし、「現在はPMLに限定した協力だが、将来の(薬剤関連副作用問題)研究の礎を作ることになる」と期待感を示している。
(The Pink Sheet 8月15日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから