IOM FDAに新規安全性情報提供システム構築求める
公開日時 2012/05/16 04:00
全米科学アカデミーの医学研究所(IOM)は5月1日、米食品医薬品局(FDA)に対して、消費者向けに新たな医薬品安全性情報を提供するシステム構築を求めたが、FDAはこれに対し設置に賛同を示したもののリソース不足に難色を示している。
IOMは、FDAに対する勧告書で、新薬および既承認薬についてのリスク・ベネフィット評価と市販後の収集した情報を分かりやすく提供するシステム(BRAMP)の構築を求めた。新規データを入手したら直ちに更新、包括的なリスク・ベネフィット情報の情報発信元として一元化したい考え。
FDAは同日、「消費者に全ての医薬品の安全性情報をモニタリングさせるというコンセプト」には賛同すると発表したが、「我々は、他の重要な規制活動と妥協することなく現在のリソースで行うことは非常に難しい」と実施すればFDAのサービス低下を招来しかねないとの懸念を示し、実施には否定的な見解を披歴した。
一方、このような幅広い情報公開には機密上の問題もあり複雑な問題も立ちはだかる。IOMは、FDAに対して、業界、患者、消費者代表から構成される実務者作業班を設置、臨床試験・研究データの公開について、公衆衛生・プライバシー・特許の問題などについて検討するよう勧めている。
現段階では、IOMは、BRAMPで提供する情報について以下を考えている。薬剤のリスクとベネフィット、今後のリスク・ベネフィット評価の予定、公衆衛生に関する質問とそれに対する主要関係者の回答、規制上の決定や実施についての効果の評価、市販後調査のデザインなど広範囲にわたっている。
IOMは現在のFDAの市販後安全性対策が十分でないという立場から提案しているが、FDAが指摘するようにリソースの問題などBRAMPの実現にはまだ乗り越える壁が多々あるようだ。
(The Pink Sheet 5月7日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから