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【ESC特別版】ATLAS ACS 2-TIMI 51サブ解析 リバーロキサバンの低用量STEMI患者への心血管イベント抑制効果示す

公開日時 2012/08/28 15:46

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の二次予防において、第Ⅹa因子阻害薬・リバーロキサバンの低用量投与が心血管イベント発症抑制効果を示すことが示された。急性冠症候群(ACS)患者における、心血管イベントの二次予防を検討した、二重盲検プラセボ対照試験ATLAS ACS 2-TIMI 51で事前に設定されたサブグループ解析の結果から分かった。8月25日からドイツ・ミュンヘンで開催されている欧州心臓病学会(ESC)2012のClinical Trial & Registry Updateセッションで、米Harvard Medical SchoolのJessica Mega氏が27日に発表した。(医学ライター森永知美)Jessica Mega氏


ATLAS ACS2-TIMI51は、STEMI、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)、不安定狭心症を含むACS患者1万5526例に対象に、プラセボかリバーロキサバン2.5 mg 1日2回、リバーロキサバン5 mg 1日2回の3群に無作為割付し、治療効果を比較した。


すでに報告されている本解析では、リバーロキサバン群でプラセボ群に比べ、有効性の主要評価項目(心血管死+心筋梗塞+脳卒中の複合エンドポイント)の2年間の累積発生率を有意に低下させている。


今回実施されたサブ解析は、特に長期的な抗凝固療法が課題とされるSTEMI症例を対象に、有効性と安全性を検討することを目的に実施された。対象は、STEMI患者7817例(プラセボ群:2632例、リバーロキサバン2.5 mg 1日2回群:2601例、リバーロキサバン5 mg 1日2回群:2584例)。全例にアスピリン(75~100 mg/日)を投与した上で、主治医の判断により、クロピドグレルなどチエノピリジン系薬剤の併用可とした。

患者背景は、平均年齢が61歳で、約79%が男性、約97%がクロピドグレルかチクロピジンを使用していた。また、PCI施行例は約71%だった。
解析の結果、主要評価項目の2年間累積発生率は、プラセボ群の10.6%に対しリバーロキサバン群全体では8.4%で(ハザード比(HR):0.81、95%CI: 0.67 – 0.97、p=0.019)、リバーロキサバン群に有意な抑制効果が見られた。


この効果は無作為化から間もなくして見られており、無作為化後30日間の主要評価項目の発生率はプラセボ群が2.3%に対し、リバーロキサバン群は1.7%で、有意差が認められた(HR:0.71、95%CI: 0.51 – 0.99、p=0.042)。また、アスピリンとチエノピリジン系薬剤の併用症例での2年間累積発生率においても、同様にリバーロキサバン群が有意に低かった(プラセボ群11.8% vs リバーロキサバン群7.9%、HR:0.78、95%CI: 0.64 – 0.94、p=0.010)。

用量に分け、リバーロキサバンの有効性を検討したところ、主要評価項目の発生率はプラセボ群より有意に低かったが、5 mg 1日2回群では心血管死の発生はプラセボ群との間に差がみられなかった(プラセボ群:4.2% vs 5 mg 1日2回群4.0%、HR:0.92、95%CI: 0.67 – 1.28、p=0.64)。


一方2.5 mg 1日2回群では、心血管死および全死亡が大幅に抑制されており(心血管死:プラセボ群4.2% vs 2.5 mg 1日2回2.5%、HR:0.60、95%CI: 0.42 – 0.87、p=0.006、全死亡:プラセボ群4.7% vs 2.5 mg 1日2回群:3.0%、HR:0.63、95%CI: 0.45 – 0.89、p=0.008)、アスピリンとチエノピリジンの併用症例においても、同様の傾向が見られた。


主要安全性評価項目である、冠動脈バイパス術(CABG)に関連しないTIMI基準における大出血は、プラセボ群で0.6%だったのに対し、2.5 mg 1日2回群では1.7%(プラセボ群に対するHR:3.63、95%CI: 1.73 – 7.61、p<0.001)、5 mg 1日2回群では2.7%(プラセボ群に対するHR:5.47、95%CI: 2.68 – 11.17、p<0.001)と、リバーロキサバン群で用量依存的な上昇を示した。


CABGに関連しないTIMI基準における大出血+軽度出血の発生率においても同様の傾向がみられた(プラセボ群1.08%、2.5 mg 1日2回群:2.46%、5 mg 1日2回群:4.51%)。リバーロキサバンは、いずれの用量でも、プラセボ群に比べ有意に発生率が高かった。それに加え、5 mg 1日2回群は2.5 mg 1日2回群と比べ、有意に上昇していた。


一方で、非致死的出血の発生率は、リバーロキサバンの各用量群とプラセボ群とで有意差はなかったものの(プラセボ群:0.12%、2.5 mg 1日2回群:0.04%、5 mg 1日2回群:0.40%)、5 mg 1日2回群は2.5 mg 1日2回群比べ、有意に高いことが示された。
これらの結果からMega氏は、「プラセボと比べて生存ベネフィットが高く、出血リスクをより低く抑制出来るのは、リバーロキサバン2.5 mg 1日2回」とした。その上で、「非常に低用量(2.5 mg 1日2回)のリバーロキサバンによる治療は、STEMIの患者における血栓イベント発生を抑制する効果的な治療戦略である」との見解を示した。


◎Zeiher氏「STEMI患者のGLでIIa Bに位置づけられたことは妥当」


Andreas Zeiher氏同試験について論評した、ドイツ・University of FrankfurtのAndreas Zeiher氏は、主要評価項目の発生率が、STEMIのサブグループで10.6%、本解析のプラセボ群で10.7%と同等であったことを紹介した。そのため、「ひとたび安定すると、STEMIとNSTEMIおよび不安定狭心症はいずれも、同等のリスクを有していることが今回の長期追跡で再度確認できた」とコメントした。

出血リスクについては、STEMI患者を対象としても、出血リスクは時間経過とともに横ばいになるわけではなく、いずれの用量でも常に増加していると指摘。長期治療を行う上でのリスクが懸念されるとした。一方で、リバーロキサバンの併用により、有効性も早期から発揮していることから、治療期間の短期化へも期待感を示した。今後の課題としてZeiher氏は、プラスグレルやチカグレロルなど新薬との併用における同剤の安全性や、非弁性心房細動や肺塞栓症、心房細動を有するACS症例など、異なる心血管症例への投与などを挙げ、まだ課題が残っていることも指摘した。

その上で、STEMIの治療におけるリバーロキサバンの位置づけについても言及。ESCのSTEMI患者の管理ガイドライン(GL)では、クラスIBとしてアスピリンとプラスグレル、チカグレロルの併用であることを紹介した。その上で、低用量のリバーロキサバンは、出血リスクが低い場合のみ、アスピリンとクロピドグレルを併用する選択された患者において検討することが可能という、クラスIIa Bに位置づけられたことは妥当であると結論付けた。
 

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