【SABCSリポート】LEA 内分泌療法+ベバシズマブ投与 PFSの有意な延長示せず
公開日時 2012/12/19 05:00
ホルモン受容体陽性HER2陰性の進行性閉経後乳がんに対する一次治療で、内分泌療法にベバシズマブを追加する併用療法は、内分泌療法だけに比べて、無増悪生存(PFS)の有意な延長がみられないことが分かった。スペインInstituto de Investigacion Sanitaria Gregorio MarañonのMiguel Martin氏が12月5日、臨床第3相試験「LEA」の結果を報告した。
試験は、ホルモン受容体陽性の進行性乳がんにおいて、抗VEGF療法が内分泌療法への耐性を遅らせるかどうかを検討した。
対象は、ホルモン受容体陽性HER2陰性で、切除不能な局所進行または転移性の乳がん患者380例で、AIの補助療法の有無、病変数、測定可能な病変か、国(スペインかドイツか)で層別化した。その上で、一次治療として、①内分泌療法である、レトロゾール(2.5mg/日)またはフルベストラント(250mg筋注、28日毎)投与のみを投与する群(以下、内分泌療法群)189例②内分泌療法+ベバシズマブ(15mg/kg、3週毎)追加群(以下、ベバシズマブ群)191例――の2群に無作為に割り付けた。治療は進行まで継続された。主要評価項目はPFSとした。
ベースラインの患者背景に群間差はみられず、年齢(中央値)は63歳で、スペインから登録された患者が約7割を占めた。ECOG PSは0が内分泌療法群71.4%、ベバシズマブ群72.8%、補助化学療法の前治療はタキサン系、アントラサイクリン系または両方が、内分泌療法群35.4%、ベバシズマブ群34.5%、補助化学療法を受けたことがない症例が内分泌療法群52.9%、ベバシズマブ群55.5%だった。補助内分泌療法の前治療は、抗エストロゲン剤が内分泌療法群31.2%、ベバシズマブ群33.5%、AIが内分泌療法群7.4%、ベバシズマブ群4.2%、補助内分泌療法の治療歴がない症例が内分泌療法群48.7%、ベバシズマブ群47.6%だった。
転移性が内分泌療法群82.0%、ベバシズマブ群80.1%、転移病変が複数だったのは内分泌療法群62%、ベバシズマブ群58%、転移臓器は骨が両群とも65%、肺が内分泌療法群37%、ベバシズマブ群32%、肝臓が内分泌療法群20%、ベバシズマブ群21%だった。内分泌療法の薬剤でレトロゾールが投与されていたのは、内分泌療法群89%、ベバシズマブ群91.6%だった。
治療の結果、PFSは内分泌療法群が13.8カ月、ベバシズマブ群18.4カ月で、いずれも、試験前に想定したPFSを上回る結果となった。ただし、試験前に想定されたリスク低下には到達できず(ハザード比(HR):0.69)、両群間に有意差は見られなかった(HR:0.83、95%CI:0.65-1.06、p=0.14)。
OSは内分泌療法群が42カ月、ベバシズマブ群が41カ月で、群間差はみられなかった(HR:1.18、95% CI:0.77-1.81、p=0.469)。
血液関連の有害事象(グレード1以上)で群間差がみられたのは、白血球減少症(内分泌療法群11.4% vs ベバシズマブ群24.6%、p=0.001)と血小板減少症(9.1% vs 19.3%、p=0.006)で、それ以外の有害事象では、疲労(29.0% vs 50.5%)、高血圧(15.9% vs 59.0%)、出血(1.7% vs 18.6%)、肝酵素上昇(28.0% vs 46.5%)、タンパク尿(2.8% vs 30.3%)において、ベバシズマブ群で有意に多く発生していた。
これらの結果からMartin氏は、「PFSを指標とした場合、内分泌療法とベバシズマブとの併用は統計的有意な延長を示すことはできなかった」とした。その上で、リスク低下は想定よりも小さかったが無視することはできないことも指摘。「現在進行中であるバイオマーカーでの解析により、同併用から治療ベネフィットが得られる患者集団の特定が出来る可能性がある」と今後の解析に期待感もみせた。