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ノバルティス ディオバン問題の第三者専門家による調査結果公表も真相解明には至らず

公開日時 2013/07/30 05:04

ノバルティスファーマは7月29日、ARB・ディオバン(一般名:バルサルタン)をめぐる5つの大規模医師主導臨床研究における同社元社員の関与について、第三者専門家が行った調査結果を明らかにし、元社員の研究への関与はあったものの、「データの意図的な操作、ねつ造、改ざんなどを行ったことを示す事実は認められなかった」とした。一方で、時間が経過し、一部の退職した社員に調査できないことや、データを保有しておらず、独立した分析ができないことなど、調査の限界を指摘。「残念ながら真相を完全に解明するには至っておりません」とした。今後は、医師主導臨床研究を実施した大学と協力して調査を継続し、真相解明に努める姿勢も示した。


同社は、同日厚労省に報告書の内容について報告した後、記者会見を開催した。記者会見の冒頭で、同社代表取締役社長の二之宮義泰氏(写真右)は、「このたびは、患者さま、ご家族、医療従事者の皆さま、および国民の皆様に大変ご心配とご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます」と述べ、同席した取締役最高顧問三谷宏幸氏(写真左)、取締役コンプライアンス本部長の永田修氏とともに深く頭を下げ、謝罪した。


調査は、スイス本社のNovartis Pharma AG社から第三者機関である、モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所伊藤見富法律事務所へ委託され、実施された。主に、当該元社員が関与していた、「JIKEI Heart Study(東京慈恵会医科大学)」、「VART(千葉大学)」、「KYOTO Heart Study(京都府立医科大学)」、「SMART(滋賀医科大学)」、「NAGOYA Heart Study(名古屋大学)」の5研究を中心に、日本法人の社員15人、元社員2人に対し、聞き取り調査を行った。


調査の結果、関与の度合いは異なるものの、元社員が5つの医師主導臨床研究に関与しており、「データの解析や、臨床研究のデザイン、データ割付方法の開発、研究事務、統計解析、および論文執筆に関与していた」ことが分かった。少なくとも2つの医師主導臨床研究におけるエンドポイント委員会に出席したことを含め、研究者とともに数多くの委員会に出席していた。また、JIKEI Heart Studyについては、一部のデータ解析も行っていたとしている。
さらに、「データが固定される前後ともに、入力された研究データは入手」できたことも指摘。一方で、データ入手の方法は明らかでなかったほか、「当該元社員によるデータの操作があったかどうかを示す証拠はありませんでした」としている。


京都府立医科大学の調査では、第三者専門家との報告が異なり、データ操作があったとの報告があったとされている。二之宮氏は、「本研究が医師主導のため、データを持っていない当社といたしましては、調査にも限界があります」と説明。7月16日付で、京都府立医科大学宛てに「協力して真相を解明したいと申し入れる手紙」を送付したことも明らかにした。また、研究にかかわっていた元社員についても、7月16日には社長名で調査に協力するよう要請を行い、「最新の状況では、本人がその重要性を理解し、一つの大学からの調査に応じ、その他の大学についても前向きになっております」と説明しており、真相の究明に努める姿勢を示した。


元社員の上司や同社経営陣の一部については、「当該元社員の研究への関与の程度について認識していた、ないしは認識して然るべきであったといえます」と指摘。ただし、経営陣のうち上層部の者は、当該元社員の日々の業務については把握していなかったと考えられるとした。


奨学寄附金については、5つの医師主導臨床研究すべてが奨学寄附金による支援を受けていたとした。「名目上は使途を特定していませんが、ノバルティスファーマは奨学寄附金が当該研究の支援に用いられることを意図および期待し、また奨学寄附金を受け取る側も、奨学寄附金が研究の支援を意図していることを認識していました」としている。なお、現在は委受託研究契約の方式としており、透明性を担保しているという。


会見で二之宮氏は、「臨床研究において、弊社の元社員がかかわり、かつ研究論文への開示が適切にされなかったこと」、「これによって、日本の医師主導臨床研究の信頼性を揺るがしかねない事態を生じさせたこと」、「5つの研究の論文を引用して、バルサルタンのプロモーションを行ったこと」について謝罪した。一方で、これらの医師主導臨床研究は、承認後に実施されたことから、「降圧剤としての有効性、安全性は確認されております。このことは、改めてご理解をいただきたいと思います」と強調した。


◎二之宮氏「売上至上主義ではない患者の役に立つ会社に」審査プロセスなど厳格化


同社は、利益相反問題と研究への不適切な関与の原因として、▽利益相反問題及び医師主導臨床研究に対する理解不足▽プロモーション資材の審査プロセスの不備――があったとの考えを示した。その上で、再発防止のための方策として、①引用論文の潜在的な利益相反のチェックなど、プロモーション資材の審査プロセスの厳格化②社員の大学・研究機関における研究活動等の記録とモニター③社員教育④医師主導臨床研究における手順の強化――を行うとした。社員教育としては、プロモーション資材の作成部門等で、定期的に実施する方針。7月1~5日には、医療用医薬品のプロモーション活動を自粛し、全社員を対象としたコンプライアンス研修も実施。5つの医師主導臨床研究に関する問題を全社員で共有した。具体的には、外部講師による講演、グループディスカッションをプログラムに組み入れて、参加した社員一人ひとりの自覚を高めるよう工夫したという。なお、当該元社員の上司に対し、第三者専門家による調査結果を踏まえ、懲戒処分を決定したことも明らかにした。


臨床医からは、過度なプロモーション活動を問題視する声もあがる中、会見で二之宮氏(写真)は、「過剰プロモーションという企業体質という指摘については真摯に反省している。必ずしもそういう体質の会社ではなく、まじめに学術情報提供を行っている会社だ。バルサルタンは2000年に発売され、Ca拮抗薬が主流の薬剤でまったく新しいメカニズムのARBという降圧薬だった。その当時、多くの患者さまが血圧のコントロールが不十分だった。その中で、Ca拮抗薬と併用したり、この薬剤に変更することで、コントロールできるのではないかということで医学会も薬学会も患者さんも期待してきた。私は、患者さまのお役に立っていると信じています」と述べた。


一方、プロモーション活動に関しては、「まず入り口のところでプロモーション資材の厳格化、情報体制づくり強化をしている」とした。エビデンスなどについては、同社のメディカル・アフェアーズ部門などを通じ、真摯な議論を深めることの重要性を強調。一方で、MRについては「ここまでがプロモーションでここからが学術提供活動か、ということを区別することは難しい。指摘を真摯にうけて、売上至上主義だと言われない、患者さまの役に立つ会社だと言われるように全社を挙げて取り組んでいきたい」と述べ、決意を示した。
 

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