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保存期CKD患者の生命予後改善にMBDの管理も不可欠 東大・花房特任准教授

公開日時 2013/11/22 03:50

東京大学腎疾患総合医療講座特任准教授の花房規男氏(写真)は11月19日、バイエル薬品が開催したプレスセミナー「慢性腎臓病(CKD)におけるリンの管理を考える」で講演した。CKD患者の治療において、骨・ミネラル代謝異常(MBD)を同時に管理していくことが生命予後改善の要点と強調し、その対策である高リン血症治療薬の選択肢が広がってきている状況を概説した。

花房氏は、CKDとMBDを同時に管理する重要性の理由として、▽腎機能が低下すると体内にリンが蓄積されるが、骨はリンとカルシウム(Ca)が結合して構成されているため、骨やミネラル代謝にも異常をきたす▽疫学データから血中リン高値そのものが生命予後や心血管イベントのリスクであり、CKDの進行速度も早めることが報告されている――と説明し、とりわけ高リン血症の管理が重要と指摘した。

保存期CKD患者の高リン血症の治療選択肢としては、従来、Ca含有リン吸着薬(沈降炭酸Ca)のみであったが、今夏、新たに透析期に加えて保存期の炭酸ランタン(ホスレノール)の保険適用が認められた。さらに、同じくCa非含有リン吸着薬であるクエン酸第二鉄水和物(リオナ錠)も臨床導入される見込みとなっている(10月28日の薬食審第一部会で承認了承)。 

花房氏によると、従来のCa含有リン吸着薬は血管石灰化をきたす可能性があり、長期使用の問題が指摘されているという。また、高齢者ではCaの非含有薬を使った方が含有薬使用と比べて予後の改善効果が高いとの報告がある。それらの点を踏まえて同氏は、今後、Ca非含有リン吸着薬の活用が広がる可能性を示唆した。

◎専門医受診者と非専門医受診者で高リン血症の認知率に大きな差

バイエルは同日に、10月に実施したCKD保存期(ステージ4および5)の患者173人を対象としたインターネット調査の結果を公表した。対象の内訳は、腎臓内科専門医受診患者が39.9%、非専門医受診者が60.1%だった。腎機能低下により体内にリンが蓄積され、高リン血症となることを知っている患者の割合は、専門医受診者では72.5%に上ったのに対して、非専門医受診者では36.5%にとどまった。

この結果について花房氏は、CKD診療では血圧や血糖など複数因子の管理が求められるため、現状として非専門医では高リン血症への関心度が高くないこともあり得ると指摘。ただ、「非専門医でもわかりやすいCKD診療ガイドが作成され、これが普及してきている。将来的に非専門医と専門医の治療の差が少なくなっていき、その中で、高リン血症の管理の重要性も浸透していくのでは」と語り、現状改善に期待感を示した。

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