バイエル薬品 アイリーア8mg製剤、RVOに伴う黄斑浮腫の適応追加を一変申請
公開日時 2025/05/12 04:48
バイエル薬品は5月9日、アイリーア8mg硝子体内注射液114.3mg/mLについて、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、半側網膜静脈閉塞症を含む網膜静脈閉塞症(RVO)に伴う黄斑浮腫の適応追加を一変申請したと発表した。同剤は眼科用VEGF阻害薬で、アイリーア硝子体内注射液40mg/mL(=アイリーア2mg製剤)の高濃度製剤。今回の適応追加が承認されるとアイリーア8mg製剤は、▽中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性、▽糖尿病黄斑浮腫――に続く3つ目の適応取得となる。
今回の申請は、国際共同第3相試験(QUASAR試験)から得られた良好な結果に基づく。同試験は日本を含む27の国または地域でRVO患者を対象に実施された。36週目に設定した主要評価項目が達成され、アイリーア8mgを8週間ごとに投与された患者群(投与開始3回目もしくは5回目まで4週間ごと)は、現在の標準治療であるアイリーア2mgを4週間ごとに投与された患者群に対し視力の変化量において非劣性を示した。
独バイエルのクリスティーン・ロス氏(エグゼクティブバイスプレジデント グローバル製品戦略&コマ―シャリゼーション責任者)は、「バイエルの眼科領域にとって日本は重要な国であり、今回の申請は、網膜静脈閉塞症における患者ケアの改善に向けた重要なステップ」とした上で、「(RVOに伴う黄斑浮腫の適応で)アイリーア8mgが承認されれば、投与間隔の延長により、網膜静脈閉塞症の患者さんにとって頻回な注射や通院の負担を軽減する可能性がある」とコメントしている。
RVOは現在、世界で2800万人の成人が罹患し、突然の急速な視力喪失に至る可能性がある。RVOは網膜への酸素供給量を低下させ、血管内皮増殖因子(VEGF)および胎盤増殖因子(PlGF)の産生を増加させる。静脈が閉塞すると、滲出液と血液が網膜に漏出し、その結果、視力に関与している網膜の中心部である黄斑に浮腫が生じる。この浮腫は黄斑浮腫と呼ばれ、VEGFはこの病態の促進に重要な役割を果たしている。
RVOは大別して網膜中心静脈閉塞症(CRVO)と網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)の2種類あり、CRVOは網膜中心静脈に閉塞が起こることで発症する。BRVOは細い網膜静脈分枝が閉塞するもので、CRVOの6倍も多くみられる。