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VART 千葉大学内部調査で意図的なデータ操作認められず 降圧薬・ディオバンの臨床研究

公開日時 2013/12/18 03:52

千葉大学は12月17日、降圧薬・ディオバン(一般名:バルサルタン)をめぐり実施された臨床研究「VART Study」について、副次評価項目について5~8%の相違がみられたものの、カルテデータに置き換えた解析結果で数値に大きな違いがみられなかったことから、現状では論文データに意図的なデータ操作が行われた内容を見いだせなかったとの中間報告をまとめた。一方で、論文に、利益相反がないと明記されていた点を問題視。論文の修正を含め、論文において利益相反を開示することを、小室一成氏(東京大学医学部附属病院循環器内科教授)ら研究者に求めることも明らかにした。今後は、第三者機関の調査として、論文データとカルテデータの照合、再解析を実施。その結果を待って、最終報告をまとめる。なお、同大付属病院内のデータについては2か月程度で終了する予定としている。


千葉大学研究活動の不正行為対策委員会(徳久剛史委員長)は、論文データベースにおいて同大付属病院の患者109例分の中から108例の患者カルテを特定。残り1例は、症例データベースはあるものの、患者を特定することはできなかった。


主要評価項目については、バルサルタン群、アムロジピン群ともに発生イベント数に違いはみられなかったものの、イベントの内訳として、論文データとカルテデータで、バルサルタン群で脳卒中1例、心不全で1例の違いがみられたが、心不全で入院し最終的に脳卒中で死亡した症例であることが分かった。


血圧値については、照合した108例全件数1512件中4.3%に当たる65件(バルサルタン群:33件、アムロジピン群:32件)に論文データとカルテデータに相違がみられた。ただ、カルテデータによる平均値に大きな違いはみられなかったと指摘。また、相違箇所についても、「バルサルタン群がアムロジピン群より優れている方向への偏りは見られなかった」とした。


副次評価項目について論文データとカルテデータの相違がみられたのは、心左室重量係数とその変化量(心左室肥大)で5.0%、14件(カルテデータ:281件、バルサルタン群:3件、アムロジピン群:11件)、血清ノルエピネフリン濃度の変化率で6.8%、19件(カルテデータ:278件、バルサルタン群:3件、アムロジピン群:16件)、心縦隔比の変化率8.0%、8件(カルテデータ:101件、バルサルタン群:2件、アムロジピン群:6件)、尿中アルブミンクレアチニン比の変化率で7.6%、20件(カルテデータ:263件、バルサルタン群:10件、アムロジピン群:10件)だった。そのほか、登録時の糖尿病患者数は、論文データに比べ、カルテデータでは、バルサルタン群で2例、アムロジピン群で3例多いことが分かった。バルサルタン群2例、アムロジピン群2例についてはHbA1cの見落としの可能性があったほか、残るアムロジピン群1例は、登録6か月後に初めてHbA1cを測定し、糖尿病の新規発症と誤認されていた可能性があるとした。ただ、これらの結果はいずれも「症例データベースの値をカルテデータの値に置き換えた上での解析結果では、数値に大きな違いが見られなかった」とした。


そのため、対策委員会では、「現状、今回調査した「論文データ」に関し意図的にデータ操作が行われたことを示す内容を見いだせなかった」とした。ただし、さらに正確性を期すため、「第三者機関の報告を待ちたい」(徳久委員長)とした。


◎データ解析研究者自身が実施 中立性担保目的で論文には異なる記載も


奨学寄附金ついては、同大医学部の外部資金の受け入れ記録では、2007~09年の3年間で9100万円が千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学に寄付されている。しかし、論文には利益相反がないと記載されていたことから、対策委員会では利益相反の観点を問題視。同大では、2008年に利益相反のポリシーを作成、利益相反員会を設置、職員への周知・教育を行っていたことから、論文が投稿された2010年には「利益相反状況の開示をすることは常識であったと判断する」と説明。Hypertension Research誌には論文受理に際し、利益相反の規定がなかったが、「利益相反状況に関する開示は当然に行われているべきであり、それがない現状は論文の記載内容(説明責任)が不十分であると言わざるをえない」と指摘した。


論文に統計解析を行っていたと記載されていたノバルティス元社員の関与については、「実際には研究者達自身で解析を行っていたという回答を得た」と説明。「研究者自身での解析結果ではデータ解析の中立性が疑われる可能性があったことから」ノバルティス元社員に解析を依頼したと記載したとした。実際には、ノバルティス元社員の関与はデータロック後に、解析について一般的な手法についてアドバイスしてもらうにとどまったとした



そのほか、症例報告書(CRF)などの個人情報を含む資料について、紙媒体を2011年4月に廃棄されていた。しかし、安全な保管場所が院内になかったことや電子媒体で保管されていたことから、「データ改ざんなどの隠ぺいのための故意による廃棄という可能性を見いだせなかった」とした。


VARTは、新規に高血圧と診断されたまたは既治療の30歳以上の患者を対象に、心血管イベントの発生抑制効果についてバルサルタン群、アムロジピン群の2群間で比較する目的で実施された。予定症例数の1/3に当たるバルサルタン群510例、アムロジピン群511例。主要評価項目(全死亡+突然死+脳血管イベント+心イベント+血管イベント+腎イベント)の発生率はバルサルタン群4.1%(21例)、アムロジピン群4.1%(21例)で、ハザード比は1.0で、2群間に有意差は認められなかった(p=0.843)。一方、副次評価項目から、心左室肥大の抑制(心左室重量係数とその変化量)、血清ノルエピネフリン濃度の変化の抑制、心交感神経活動の活性化、腎機能保護に関して、バルサルタン群で有意に良好な結果を示している。
 

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