大学病院の経営悪化 事業継続の危機と地域医療をどうみるか
公開日時 2025/08/01 00:00
編集長沼田佳之「次期診療報酬改定まで持ちこたえるため、共同調達・増収等の経営改善努力を重ねるが・・・」――。7月9日の国立大学病院長会議の記者会見で大鳥精司会長(千葉大学医学部附属病院長)は、全国42国立大学病院の2024年度経常損益が過去最大の285億円のマイナスになったと警戒感を露わにした。大鳥会長は、「大学病院としての事業継続の危機」と訴える。その要因として、2023年度途中のコロナ補助金廃止と働き方改革対応に伴う人件費増加、急激な物価高騰をあげた。さらに深刻なのは、移植医療やCAR-T細胞療法などの高度医療に影響が出ていること。症例を重ねるごとに病院の持ち出しが増加し、赤字が拡大する。もはや「医療者の自己犠牲のもとに治療を行っているのが現状」との危機感も聞かれるようになってきた。「耐...