EMA事務総長 欧州希少疾病リーダーシップ章を受章
公開日時 2014/02/28 03:50
欧州医薬品庁(EMA)のGuido Rasi事務総長は、欧州委員会(EC)のPaola Coggi保健・消費者総局事務局長ならびにイタリア医薬品庁(AIFA)のLuca Pani事務総長とともに「欧州希少疾病リーダーシップ賞」(European Rare Disease Leadership Award)を受賞した。EMAが、「希少疾病薬の日」である2月28日に先立つ、2月25日発表した。
「欧州希少疾病リーダーシップ賞」は、欧州希少疾病機関(European Organization for Rare Diseases :EURODIS)が主催し、希少疾病の克服に何らかの寄与をした科学者、企業、政治家、公務員、メディア、患者団体、ボランティアらを顕彰するもの。
Guido Rasi事務総長は、新規に施行された「欧州希少疾病医薬品規制」(The European Orphan Regulation)のもとで製薬企業に優遇策を講ずるなどして希少疾病薬の開発を促進させ、希少疾病薬の数を飛躍的に増加させたことが評価された。EMAでは、希少疾病薬は、希少疾病製品委員会(Committee for Orphan Medicinal Products:COMP)が、希少疾病薬の指定、審査、承認勧告を行っている。現在までに合計約1000剤が希少疾病薬の指定を受けた。2011年に4剤、12年に8剤、13年に11剤の希少疾病薬が承認されている。
Rasi事務総長は、受賞にあたって、「(希少疾病薬承認プロセスにおける従来との)大きな違いは、医薬品の評価の場に患者を関与させたことだ。欧州の希少疾病薬の規制では、初めて科学委員会に患者の参加を認めたケースとなった。COMPに初の患者代表が指名されたときが、まさに、ターニングポイントとなった」と話し、委員会の意思決定に患者が価値を与えることができるようになったという点に言及。「このことが、規制者と意思決定者の新たな標準となった」とコメントした。
EUでは、希少疾病は10000人に5人以下と定義され、3000万人が希少疾病に罹患しているという。
EMAは、希少疾病薬指定の申請を米医薬食品局(FDA)に並行して提出するよう促すために、08年からFDAと希少疾病薬開発促進の面で協力体制をとっている。12年には同様体制が、厚労省および医薬品医療機器総合機構(PMDA)とEMAの間にも拡大された。これら協力体制は成功裏に進展しており、13年には、希少疾病薬指定申請の半分は、他規制当局と並行して提出された。14年も同様傾向が続くとみられている。
なお、「希少疾病薬の日」は、EURODISが、希少疾病薬の認知度向上や患者へのアクセス向上を目指して、08年に2月の最終日をその日として制定した。