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2013年度 国内医療用医薬品市場 初めて10兆円突破 IMS調べ

公開日時 2014/05/09 03:52

IMSジャパンは5月8日、日本の2013年度(13年4月~14年3月)の医療用医薬品市場が薬価ベースで10兆円の大台を超えたと発表した。10兆円超えは暦年(1~12月)、会計年度(4月~翌年3月)のいずれでも初めてとなる。抗がん剤や抗血栓症薬などの伸長に加え、今年4月の消費税率引き上げに伴う1~3月の駆け込み需要(=いわゆる「仮需」)が一部の大型品に見られたことも後押ししたようだ。

13年度の医療用薬売上は10兆164億6100万円、前年度比4.8%増となった。市場別では100床以上の病院市場が3兆9282億8200万円(前年度比4.4%増)、99床以下の開業医市場が2兆2466億9100万円(1.4%増)、主に調剤薬局で構成する「薬局その他」(以下、調剤薬局市場)が3兆8414億8800万円(7.2%増)――。調剤薬局市場と病院市場との差は、前年度の1784億円から今回868億円まで縮小した。調剤薬局市場の高成長が見て取れる。

◎新薬創出加算品目 消費税率引き上げ前の1~3月に仮需か

今年4月は薬価改定が行われるとともに、消費税率も5%から8%に上がった。このため、薬価をほぼ据え置く新薬創出加算適用品目では、その多くが消費税率引き上げによって4月に薬価が2~3%程度上がった。

IMSはこの日、13年度第4四半期にあたる14年1~3月の市場動向も公表した。売上上位10製品のうち新薬創出加算の適用品目をみると、売上トップ製品でもある抗血小板薬プラビックスは売上353億9900万円、前年同期比41.0%増、売上2位の抗がん剤アバスチンは236億7200万円、17.1%増、8位の疼痛用薬リリカは185億5200万円、57.8%増――などとなっていた。ちなみにプラビックスの13年度第3四半期(13年10~12月)の売上の伸びは12.5%増、同様にアバスチンは9.5%増である。新薬創出加算の市場浸透と消費税率引き上げが相まって、1月以降、これら製品などで仮需もあったと推察される。

◎市場拡大再算定品目では買い控え

一方、4月の薬価改定で市場拡大再算定が適用されたことにより、約10%のマイナス改定となった抗リウマチ薬レミケードの1~3月の売上は5.9%減、2型糖尿病に用いるDPP-4阻害薬ジャヌビアも同2.3%減だった。レミケードの13年10~12月の売上は9.3%増、ジャヌビアは5.0%増だったことから、市場拡大再算定品目では改定前の買い控えがあったとみて間違いないだろう。

◎13年度製品売上 1000億円以上に2製品

13年度通年の医療用薬市場を詳細に見てみる。製品別売上の1位は、これまでのARBブロプレスにかわってプラビックスとなった。プラビックスの売上は1270億9100万円(21.1%増)だった。売上2位のブロプレスは配合剤への切り替えなどの影響もあったが、売上1022億2600万円(8.6%減)と1000億円台をキープした。3位はアバスチンで売上935億9100万円(14.5%増)だった。医師主導臨床研究問題があったARBディオバンは売上881億8800万円(16.8%減)で、売上上位10製品の中で唯一2ケタ減収となった。売上ランキングも前年度の2位から今回7位に後退した。

◎薬効別売上 トップは抗がん剤 抗血栓症薬と免疫抑制剤は2ケタ成長

薬効別の売上を見ると、トップ3薬効のランキングは変わらず、トップから抗がん剤(7151億3100万円、8.6%増)、レニン-アンジオテンシン系作用薬(6492億3700万円、2.7%増)、糖尿病治療薬(4697億500万円、9.9%増)となっている。抗がん剤市場ではアバスチン、ハーセプチン、ベルケイドといった分子標的薬が市場をけん引。RA系作用薬ではARBオルメテック、同アジルバ、ARB配合剤のほか、ファイザーなどが販売するARBロサルタンのジェネリックが売上を伸ばした。糖尿病治療薬はDPP-4阻害薬が市場拡大に寄与した一方、特許切れしたTZD薬アクトスやSU薬アマリールは売上を落とした。

2ケタ成長したのは2薬効で、4位の抗血栓症薬(4303億3600万円、13.5%増)と8位のリウマチなどに用いる免疫抑制剤(3344億6000万円、12.1%増)になる。抗血栓症薬の売上ランキングは前年度6位から今回4位にランクアップ。プラビックスのほか、この薬効領域に含まれる経口抗凝固薬プラザキサやイグザレルトの売上増もランクアップの要因になっている。免疫抑制剤は薬効内売上トップのレミケードをはじめ、エンブレルやヒュミラも売上を伸ばした。

一方、上位10薬効中で市場が縮小したのは全身性抗菌薬(3536億円8100万円、3.0%減)のみ。売上上位製品ではゾシンが売上増を続けたものの、これ以外の多くの製品が減収だったという。

◎企業別売上 ヤンセン、リリー、ファイザー、バイエル、第一三共が2ケタ成長

企業別の売上ランキングを見てみる。医薬品卸に製品を販売し、その代金を回収する機能を持つ「販売会社」ベースでは、上位20社の顔触れは前年度と変わらない。また、トップ3社も変わらず、武田薬品、アステラス、第一三共の順。ただ、4位は前年度5位の中外製薬となった。前年度より売上を伸ばした企業は13社で、内資系7社、外資系6社。2ケタ成長を記録したのはヤンセン(23.4%増)、日本イーライリリー(18.4%増)、ファイザー(17.7%増)、バイエル(15.0%増)、第一三共(11.4%増)――の5社だった。ヤンセンは疼痛用薬トラムセットなど、リリーは抗精神病薬ジプレキサなど、ファイザーはリリカなど、バイエルはイグザレルトなど、第一三共はオルメテックやPPIネキシウムなどが好調だった。

販促会社が2社以上の場合、製造承認を持っているなどオリジネーターにより近い企業に売上を計上する「販促会社」ベースで企業ランキングを見てみる。こちらも上位20社に新たにランクインした企業はなく、トップ3社(ファイザー、武田薬品、第一三共)の順位変動もなかった。なお、プラス成長企業は計12社で、内資系5社、外資系7社だった。

以下の「関連ファイル」に医薬品市場全体、上位10薬効、売上上位10製品などの資料を掲載しました。

 

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