米FDA 髄膜炎ワクチンTrumenbaを承認
公開日時 2014/11/06 03:50
米食品医薬品局(FDA)は10月29日、侵襲性髄膜炎菌性疾患予防ワクチンTrumenba(髄膜炎菌血清群Bワクチン)を承認した。適応は、10~25歳の青少年における、髄膜炎菌血清群Bを起炎菌とする侵襲性髄膜炎菌性疾患の予防で、同疾患に対する米国初のワクチン。FDAは同ワクチンについて迅速審査の指定ならびに画期的医薬品(Breakthrough Therapy)の指定を行っていた。なお、これまでに米国で承認された髄膜炎菌ワクチンは、血清群A、C、YおよびWを対象としている。
髄膜炎菌性疾患は、血流に影響を及ぼす敗血症、脳や脊髄の周囲の被膜に影響を及ぼす髄膜炎として生命を脅かす疾患。主起炎菌は髄膜炎菌で、咳、キス、食器の共同使用などで、呼吸器や咽頭の粘膜を介し、ヒトからヒトへ感染する。米疾病予防管理センター(CDC)によると、2012年に報告のあった髄膜炎菌性疾患は500例で、このうち160例が血清群Bを起炎菌だったという。
同剤は、米ファイザー社の子会社ワイス・ファーマシューティカルズ社(本社:ペンシルバニア州フィラデルフィア)が製造する。
ファイザーのEmilio Eminiワクチン研究開発担当上級副社長は、「米国において、稀だが生命を脅かすこの疾患を予防するために、いま緊急に必要とされる、米国で初めて承認されたワクチンを開発したことを誇りに思う」と述べた。その上で、「次の段階として、国の接種推奨ワクチンと認定されることについてCDC(疾病管理予防センター)との協議に入ることを期待したい」とした。
FDAのKaren Midthun生物製剤評価・研究センター長は、「最近の2、3の大学における髄膜炎菌血清群Bを原因とする疾患の発生は、この生命に危険を及ぼす疾患の懸念を高めた」と説明。その上で、「FDAによるTrumenbaの承認は、米国におけるこの疾患の予防に役立つ安全かつ有効な方法を提供する」と同剤の登場を歓迎した。