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米21世紀治療法 臨床試験簡略化に懸念も

公開日時 2015/08/05 03:50

米連邦議会上院は、本誌既報の通り、今年7月10日、「21世紀の治療法」案(21st Century Cure Act)を賛成344票、反対77票の圧倒的多数で可決したが、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、米国バイオ産業協会(BIO)など業界関係者からは、新薬開発が一層促進されると期待感が高まっている一方、一部有識者などからは、同法案は新薬上市を急ぐあまり特に安全性が損なわれる恐れがあるとの懸念も表明されている。

 
「21世紀の治療」法案は、米国での新薬創製・開発から患者へ届けるまでのプロセスを合理化、迅速化することによって、米国のバイオ・医薬品産業の国際競争力を一層強化することを目的とし、具体的には、▽NIHの今後3会計年度予算を毎年4.5%増加のほか今後5年間で毎年20億ドルを計上するというイノベーションファンドを創設する、▽NIHの業務の効率化、▽承認審査業務を含むFDA業務の効率化、▽希少疾病薬開発に対するインセンティブ強化、▽臨床試験効率化と迅速化、▽Precision Medicine(精度の高い医療=個別化医療)ガイダンスの策定、▽若手研究者の育成・支援--など基礎研究および臨床開発からFDAおよびNIHの業務に至るまで幅広い改革および改善を目指す内容となっている。
 
特に同法案では、医薬品評価するために厳格な臨床試験についての合理化、短縮化が明記された。一例として、抗生物質について、動物試験のデータや小規模臨床試験に基づいて承認したり、現在、抗がん剤などの臨床試験で活用されているサロゲートエンドポイントに基づいたデータで承認しようという提言で、これらが実現すると製薬企業にとっては、経費と時間の節減になる。
 
しかし、米紙「Washington Post」最近号は、ハーバードメディカルスクールのJerry Avorn教授が科学誌「New England Journal of Medicine」に寄稿した同法への批判を紹介した。同教授は、医薬品開発に欠陥があるとすれば、ほとんどの場合、製薬企業に創薬の能力が欠如しているときで、法律によってこれを良くすることはできないと前置きをしたうえで、「臨床的ベネフィットなしに抗生物質を含む医薬品を承認するというFDA基準を引き下げることは、役立つとは思えないばかりでなく患者を害することになる。我々は、患者のベネフィットの代わりに実験室の試験に基づいたデータで医薬品が承認されることを求めていない」としている。
 
非営利法人シンクタンクの全米衛生研究センター(NCHR)のDiana Zuckerman 所長は、「それら(法案明記の事項)の欠陥が分かった、20世紀に残してきたスタンダードについて論議する法律を21世紀の治療と呼んでいるのは皮肉なことだ」と同法を揶揄している。
 
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