【World Topics】座りっぱなしは万病の元
公開日時 2016/02/22 03:50
一日中座りっぱなしで仕事している人は「命知らず」。こう断じるのはウォールストリートジャーナル紙だ(”The Toll of Sitting All Day”)。図は同紙が掲載したイラスト。座りっぱなしでいるとどこにどんな健康障害が出るかを人体マップに書き込んである。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
最近、続々と発表されている研究によれば、長時間座りっぱなしで仕事する作業形態は、糖尿病や関節炎から癌まで、少なくとも35の疾患を引き起こす原因となる。デスクワーク30分の場合、20分間座ったら、8分間は立ち、2分間はストレッチか歩きいまわることにあてなければいけない、というのが最新の処方だ。
NASAの研究によれば、1度に2分間続けて立ち、これを日に16回繰り返せば骨密度と筋肉量の維持に効果が期待できるという。1日に最低2時間「足を使う」ことで重篤な慢性疾患を免れることができるという英国の研究もあり、同じ英国の別の研究では、オフィスでデスクワークに従事する人は1日に最低2−4時間は立つか、歩くかすべきである推奨している。
一方、「長時間立ちっぱなしでいることも健康によくない」と警告するのは、エルゴノミクスの専門家だ。2時間以上連続して立ち仕事 を続けると、背中、腰、足にさまざまな問題を起こすことは一般にもよく知られている。
要するに、立ちっぱなしも座りっぱなしも健康によくない。どんな姿勢も動作も長時間そればかり続けてはいけないのであって、1日の就労時間内に、意識的にさまざまな動作、姿勢 をバリエーションをもたせて組み合わせることが大事だと 認識する必要があるという。
さらに、立ちっぱなしや座りっぱなしの弊害は、後でまとめて運動しても解消されないということも知っておかなければならない。1日中座りっぱなしで仕事した後で2時間まとめて運動するよりも、仕事中にこまめに立ったり歩いたりストレッチすることの方が、座りっぱなしの身体への弊害解消にはずっと効果的だということが研究で明らかになっている。