【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

田村元厚労相 社会保障費の圧縮幅「1400億円は一つの目途」 17年度予算編成

公開日時 2016/10/21 03:51

自民党社会保障制度に関する特命委員会の田村憲久委員長代理(元厚労相)は10月20日、東京都内で開かれた医療経済フォーラム・ジャパンの第15回公開シンポジウムで講演し、年末の予算編成に向け、「(自然増圧縮額は)1400億円とは言わないが、それを目途にどうやって抑えていくか」になるとの見解を示した。財務省は、社会保障費の自然増を6400億円から5000億円に圧縮することを求める中で、昨年12月に閣議決定した「経済・財政再生計画改革工程表」に示された7項目すべての項目の実現を求めている。田村議員は、予断なく検討する”とされているが、必ずしもすべてを実現するかは明記されていないとの認識を示し、国民生活への影響を鑑み、「メリハリをつけながら検討をしていく」と述べた。


政府は2020年までの基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指す。田村議員は「いまの日本の状況は大変厳しく、今年度の予算ベースでも10兆円強足りない」としながらも、アベノミクスの効果で「所得税や法人税、消費税も含めて税制が上振れした」と説明。名目成長率3%を達成できれば、「2020年プライマリーバランスはほぼ均衡するところにまで近づく。正確に言うと、軽減税率をいれた分だけは足りないが、ほぼ達成できる」との見方を示した。


社会保障費の圧縮を求められる中で、「高額薬剤をどうするかは大きな課題だ」との認識を示した。2015年度の医療費は、概算医療費ベースで対前年度比3.8%増の伸びを示した。この伸長には、C型肝炎治療薬・ソバルディ錠、ハーボニー配合錠の薬剤料が大きく影響したと指摘。「だからこそ、巨額再算定(特例拡大再算定)という新たなルールを入れざるを得なかった」と説明した。


その上で、現在は抗がん剤・オプジーボについて、「本来薬価改定の時期ではないが、議論している」と説明。オプジーボは2017年4月に臨時的に25%の引下げ、さらに通常の薬価改定である18年4月の2回にわたる薬価引下げが検討されている。これに対し、野党に加え政府内からも50%の引下げを求める声があがるなど、さらなる引下げの声もあがっており、今後年末に向けての攻防が行われることとなりそうだ。


そのほか、昨年12月に閣議決定しに示された高額療養費の見直しや、財政制度等審議会で提案された高額介護サービス費の負担上限引き上げ、介護への総報酬割の導入などが検討されていることも説明。「国民生活の影響を鑑みながら、社会保障国民会議では負担能力に応じた負担をしてもらうことが必要だ。払える方には払ってもらうが、払えない方に払えと言うと、医療も介護も崩壊してくる。そのメリハリをつけながら検討をしていく」と述べた。


一方で、田村議員は歳出抑制による効果だけでなく、税収など歳入増加が財政健全化に寄与することに期待感を示した。実際、アベノミクスの効果として「過去2、3年みていると毎年当初予算よりも4兆円程度税収が上振れしている」と説明。「今年前半は厳しかったが、後半消費税の引き上げも延長したし、色々な景気対策を打つ中で、もう一度アベノミクスの火を点火すれば税収が上振れする」と期待感を示した。歳入が増えれば、社会保障費圧縮への圧力も弱まるとの見方を示し、「アベノミクスは社会保障を維持するためにも必要になっていく」と述べた。

 

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(5)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー