日本新薬 5か年新中計 グローバル展開加速で成長図る ウプトラビが戦略品
公開日時 2019/05/16 03:50
日本新薬の前川重信社長は5月15日、東京支社で行った2019年度~23年度までの中期経営計画説明会で医薬品事業について、自社創製品で肺動脈性肺高血圧症治療薬・ウプトラビを核としてグローバル展開を加速し、成長を図る方針を明らかにした。
重点領域は、引き続き泌尿器科、血液内科、難病・希少疾患、婦人科の4領域。同社によると、この間、薬価の毎年改定などで国内医薬事業は大きな成長がしづらい。そこでウプトラビの海外の提携先を通じた販売拡大によるロイヤリティの増収などで得た利益をグローバル事業の強化に投資。筋ジストロフィなどの新薬の海外自社販売体制の構築に充てる。医薬事業の最終年度売上高は約330億円増の1330億円を計画し、その多くをロイヤリティ含む海外事業の成長で確保し、実現を目指す。
新中計の最終年度目標は、売上高は1500億円(18年度実績1147億円)で、うち医薬品事業は1330億円(同1002億円、工業所有権等収益、共同販促収入除く=785億円)。営業利益は400億円(同206億円)。海外事業売上高比率は現在の約20%から30%強まで高める。営業利益の増額には、ウプトラビの提携先を通じた販売拡大を通じたロイヤリティ収入などが大きく寄与することを見込む。海外では、まず米国で自販体制を構築する。自社品でデュシェンヌ型筋ジストロフィ薬として開発している「NS-065/NCNP-01」の来春の発売を予定する。欧州、中国での販売体制も検討する。
◎国内10品目の承認目指す スペシャリティ薬多く学術機能強化
国内は大きな成長がしづらい環境にあるものの、ウプトラビ、排尿障害改善薬ザルティアなどの新薬群でプレゼンスを確保する。同社によると、この間、ザルティア、骨髄異形成症候群治療薬のビダーザへの後発医薬品の参入が予定されるが、セレキシパグ(販売名:ウプトラビ)への慢性血栓塞栓性肺高血圧症(フェーズ3)、閉塞性動脈硬化症(フェーズ3)などの効能追加、「NS-065/NCNP-01」(フェーズ2)などの承認でカバーする。血液がんにおける造血細胞移植後の重篤な合併症である肝中心静脈閉塞症の治療薬「NS-73」(申請中、予防適応=フェーズ3)、難治性てんかん治療薬「ZX008」(フェーズ3)など計10品目の承認を目指す。また、導入も進める。
スペシャリティ薬が多くなることから、地域ごとの学術機能を強化する方針。現在630人程度のMRから移管も進める。生産性を高めるためリモートディテールや医療従事者向けウェブサイトの拡充などデジタル技術を活用した営業も進める。