バイタルケーエスケーHD 国内未承認薬の導入支援事業に参入 新たな収益の柱に育成 新中計を策定
公開日時 2025/04/18 04:50
バイタルケーエスケー・ホールディングス(HD)は4月17日、2025~27年度の3カ年の中期経営計画を策定し、国内未承認薬の導入支援事業に参入すると発表した。日本のドラッグラグ・ロス問題に今まで以上に主体的に関わることで「社会課題解決の一翼を担う」とし、より一層の企業価値の向上と持続的な成長を実現する。医薬品卸売事業は、収益力の強化に向け、デジタル・AI活用の推進による医薬品流通の一層の効率化や、専門性高いチーム営業による病院市場でのプレゼンスの向上などに取り組む。これにより同事業では27年度に売上6200億円(24年度見込5640億円)、営業利益70億円(同50億円)、営業利益率1.13%(同0.89%)――を目指す。
◎「複数の製薬企業と交渉を重ねている」
中期経営計画では新規事業のひとつに「製薬事業(未承認薬導入支援事業)」を掲げた。欧米承認済みで国内未導入の新薬をターゲットにライセンス契約を締結し、国内上市に向け、バイタルケーエスケーHDがイニシアチブをとってパートナー企業と協働し事業化する新しい取組みとなる。臨床開発や市販後調査、製造は複数のパートナー企業と進める。
国内未承認薬の導入に向けて現在、「複数の製薬企業と交渉を重ねている」と言い、「最適なアライアンスやビジネスモデルを構築していくことで、この製薬事業(未承認薬導入支援事業)を当社の新たな収益の柱に育成していく」としている。3年間の成長投資110億円の一部を充てる。
◎医薬品卸売事業 高額薬使用の病院市場のプレゼンス強化へ 専門性高いチーム営業を展開
中核事業の医薬品卸売事業では、ROIC(投下資本利益率)の向上と安定したフリーキャッシュフローを創出するため、▽経営体質の改善、▽医薬流通収益力の強化、▽コア事業領域拡大――に取り組む。
経営体質の改善では、流通改善ガイドラインの率先垂範と貢献利益管理の徹底、都市部や地方の地域特性に合わせた効率的・効果的な配送体制の構築、DXやAIを活用した業務の効率化や生産性の向上――といった実践課題に取り組む。
医薬流通収益力の改善では、デジタルマーケティング強化による新たな収益の獲得や、がん、ワクチン、ウィメンズヘルスケア、地域連携など「特色ある医薬品流通に注力」する。
さらに、「抗がん剤などの高額な注射薬が使われる病院市場でのプレゼンスを一層強化する」との方針を掲げ、グループの専門人材によるチーム営業を強化する。具体的には、地域の基幹病院で行われる医療全般に精通したプロフェッショナル人材「MAPs(Medical Assist Partners)」、病理検査室へのアプローチ強化のためがん領域に特化した新組織「Lab Access部」、がん治療薬に関する高い専門性を習得した「がんリエゾン」、高度な医療機器の取扱いに精通した「メディカルMS」――によるチーム営業体制を構築する。これにより、▽スペシャリティ医薬品の販売拡大、▽高度な医療機器や試薬・検査薬の販売拡大、▽製薬企業MRの機能を代替し、情報フィーの更なる獲得――を図り、「病院市場における様々な価値提供により、安定した収益の確保を追求」するとしている。
コア事業領域の拡大では、難病患者と専門医、薬剤師をつなぐスマートフォンのチャットツール「おくすりあうん」の事業領域の拡大などに取り組む。