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キッセイ薬品 新中期経営計画「Beyond 80」公表 29年度売上1100億円以上 低分子創薬にフォーカス

公開日時 2025/05/08 04:52
キッセイ薬品は5月7日、新中期5ヵ年経営計画「Beyond 80」(2025~2029年度)を公表した。新中計の最終29年度の売上高は1100億円以上、研究開発費控除前の営業利益290億円以上、ROE8%以上とする目標を掲げた。同社は新中計期間を、「将来の持続的成長に向けた成長投資期」と位置付け、低分子にフォーカスした創薬研究や、研究開発・IT・設備への積極投資などを推し進める方針だ。駒村孝幸執行役員経営企画部長は、「これまで積み重ねてきた挑戦の歴史と、前中計で築いた事業基盤を基礎として創薬研究開発型企業として成長していく」と決意を込めた。

新中期経営計画は26年に同社が創立80周年を迎えることにちなみ、「Beyond 80」と命名した。成長戦略として、▽将来に向けた成長投資、▽創薬テーマの拡充と成長ドライバーの獲得、▽国内医薬品の拡大と成長、▽海外ライセンス収入の拡大―を掲げた。

2029年度計数目標は売上高1100億円以上、うち国内販売提携先供給額とコ・プロモーションフィーを含む国内医薬品売上は950億円以上、ライセンスアウトに係る契約金やマイルストン収入、ランニングロイヤルティ、輸出の合計額など海外ライセンスは100億円以上、ヘルスケア食品は45億円以上、その他事業は150億円以上。このほか研究開発費控除前営業利益は290億円以上とした。

◎駒村経営企画部長「低分子創薬に限界はない」 リソース集中で成果生み出す

成長投資では、中計期間中に研究開発に1000億円、DX推進に向けたIT投資に200億円、研究・製造機能の強化やESG経営の推進に向けた設備投資に200億円を投じる計画を示した。特に研究開発において、自社創薬は低分子にフォーカスしていく考えを強調。駒村経営企画部長は、「アロステリックサイトを標的とする研究やRNA創薬、標的タンパク分解など新たな技術が見出されてきており、低分子創薬に限界はない。リソースを集中させて投下をしていくことが最も成果を生み出せる道だ」と説明した。一方、ライセンスインではアンメットメディカルニーズを満たす疾患領域で、抗体やバイオ医薬品などあらゆるモダリティを対象にしていく方針だという。

◎開発パイプライン 新中計期間中に4品目6適応症の上市目指す 

開発パイプラインでは、中計期間中にリンザゴリクス(子宮筋腫、子宮内膜症)▽クレトスチモゲン(高リスク/中リスク筋層非浸潤性膀胱がん)▽ロバチレリン(脊髄小脳変性症)▽オルタシデニブ(急性骨髄性白血病)―の4品目6適応症を上市し、成長ドライバーに育てていくとした。

一方、24年度までの前中計の振り返りでは、海外事業におけるパートナー企業(当時)の経営難によるビジネススキームの再構築やパテントクリフが響き、海外ライセンス収入や営業利益は計画未達に終わった。ただ、駒村経営企画部長は、「計画通りに国内では7製品、海外では創製品のリンザゴリクスを事業化した。営業利益は目標に届かなかったものの、国内医薬品事業を当初の計画以上に伸長させ、成長フェーズへ転換するという戦略目標を実現することができた」と振り返った。

◎24年度連結業績 売上高は過去最多の883億円 ベオーバや新製品4品目牽引

24年度連結業績は、売上高が前期比16.9%増の883億3000万円と過去最多を更新。営業利益は同43.7%増の57億7300万円の増益だった。最主力品の過活動膀胱(OAB)治療薬・ベオーバに加え、22年度以降に発売した新薬4製品(顕微鏡的多発血管炎(MPA)・多発血管炎性肉芽腫症(GPA)治療薬・タブネオス▽透析そう痒症治療薬・コルスバ▽慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)治療薬・タバリス▽潰瘍性大腸炎治療薬・カログラ)が伸長し、業績を牽引した。また、自社創製品のリンザゴリクスは欧州で発売や発売準備が進んでおり、海外ライセンス収入も増加した。

◎25年度予想 売上高は3.6%増の915億円 営業利益は3.9%増の60億円

25年度業績見通しは、売上高は前期比3.6%増の915億円、営業利益は同3.9%増の60億円とした。引き続き主力製品の好調を見込み、薬価改定や海外ライセンス売上の反動減を吸収すると予想した。

製品別の25年度売上予想は、ベオーバが前期比9.3%増の204億円▽タブネオスが同26.8%増の114億円▽コルスバが同34.4%増の71億円▽タバリスが同68.9%増の37億円▽カログラが21.4%増の14億円―としている。

【24年度連結業績 (前期比) 25年度通期予想(前期比)】 
売上高883億3000万円(16.9%増) 915億円(3.6%増)
営業利益57億7300万円(43.7%増) 60億円(3.9%増)
親会社帰属純利益119億6100万円(7.2%増) 123億円(2.8%増)

【24年度の国内主要製品売上(前期実績) 25年度通期予想、億円】
ベオーバ 186.62(153.35) 204
タブネオス 89.89(51.61) 114
コルスバ 52.84(7.57) 71
ピートル 44.42(52.41) 46
ダルベポエチン アルファBS 37.92(40.77) 32
ミニリンメルト他※ 35.03(36.62) -
グルベス、グルファスト 32.09(38.06) 28
タバリス 21.90(8.18) 37
エポエチンアルファBS 17.71(23.36) 16
カログラ 11.53(10.91) 14
ユリーフ 10.40(20.76) 5
マリゼブ 9.39(10.73) 10

※ミニリンメルト、デスモプレシン点鼻スプレー、デスモプレシン静注→25年3月31日でフェリング・ファーマとの販売提携を終了
 
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