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武田薬品・濱村レアディジーズBUヘッド エコシステム改善で社会に貢献 デジタル戦略加速も

公開日時 2019/09/04 03:52

武田薬品はシャイアー社との統合に伴い、今年4月1日付で、国内の医療用医薬品ビジネスを所管するジャパンファーマビジネスユニット(JPBU)を再編し、「レアディジーズビジネスユニット」を新設した。その責任者(BUヘッド)に就任したのが濱村美砂子氏だ。本誌のインタビューに応じた濱村ヘッドは、「比較的規模の小さかったシャイアー社は、スピードについて強いドライバーを持っている。もともと武田薬品にいた社員にとっても良い刺激になっている」と述べ、統合による手応えを強調した。またレアディジーズビジネスの方向性に触れ、「これからの医療の在り方を考えるダイナミズムが生まれている。今後の社会や環境変化への対応を加速させるためにも、タケダにとって大きな加速力になっていくと確信している」と意欲を示した。

◎短期だけでなく中長期で一石投じる


レアディジーズビジネスユニットの大半はシャイアー社から異動してきた社員で構成される。濱村ヘッドは、「武田薬品がどんな会社か不安に思っていた人も多かったと思うが、4か月間が経ち、自信を持って‟武田薬品で働こう“と話してくれるメンバーが増えていることを嬉しく思っている」と述べた。

その上で事業目標については、「我々は、“Beyond Portfolio”と呼んでいる。また、製品や領域を超えて、エコシステム全体を改善する取り組みのできる企業になることを目指している」と強調。「短期的な成功だけでなく、中長期的に考えて社会の在り方に一石を投じていきたい。それがエコシステムの改善だ。短期的な成果は企業としてエネルギーを注ぐが、それだけでは終わらないというのが武田薬品としての気概だ」と述べ、この分野で日本のリーディングカンパニーとしての責任を果たす考えを表明した。

◎治療薬の提供にとどまらないエコシステム創設を


希少疾患におけるビジネス上の課題について濱村ヘッドは、患者が確定診断を受けるまでの時間が長いことをあげた。「改めてデータを見て驚いた」-。濱村ヘッドはこう前置きした上で、「日本は海外に比べて希少疾患の診断率が低い。認知度を向上させることで、1%でも診断率が上昇するような仕組みにしたい」と強調した。このほか新生児の遺伝子スクリーニングが海外に比べて後れていることや就職や結婚では、依然としてスティグマ(偏見)も存在することを指摘。「治療薬の提供こそ製薬企業の果たすべき役割」としながらも、スクリーニングから診断、治療、そしてサポートというペイシェントジャーニー全体を踏まえ、「治療薬の提供だけにとどまらず、行政やアカデミアに働きかけ、より良いエコシステムを創っていけるような活動を今後は展開していきたい」と意欲を示した。

◎PROは治療へのエンゲージメントを高める

このほかデジタルの活用にも強い意欲を示した。すでに血友病については、「マイPKフィット」というウエブベースの医療機器プログラム(ソフトウエア)が医療機器として承認されている。個々の患者に合致した最適な薬物動態(PK)に基づいた個別化医療を実現するというもの。また、遺伝性血管性浮腫(HAE)患者の症状記録アプリ「HAEノート」にも取り組んでいる。発作が軽症であれば数日で症状が治まってしまうため、自己判断で診察に行かない患者も少なくない。このツールは、記録することと、カメラで撮影することが特徴で、医療従事者に腫れや浮腫など発作の頻度や部位、強さなどを正確に伝えることをサポートする。

濱村ヘッドは、「こうしたPRO(Patient Reported Outcome:患者報告アウトカム)は、患者の治療へのエンゲージメントを高めることも期待できる」と述べ、「患者に貢献できるものをすでに具現化させているという意味では、一歩先に行っていると感じている。統合を通じて武田薬品のデジタル戦略も加速できているのではないかと感じている」と述べた。
 
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