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湘南アイパーク インキュベーション事業スタート J&Jと武田薬品がスポンサー参画

公開日時 2019/10/15 03:52
湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)は10月11日、アカデミアやベンチャー企業を支援するインキュベーション事業をスタートさせると発表した。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)と武田薬品のニューロサイエンスドラッグディスカバリーユニットがスポンサーとして参画する。小規模なベンチャーの参画を募り、湘南アイパークを舞台とした強力なエコシステムを構築する。アカデミアやベンチャー企業の有する革新的技術に早期段階からコミットすることで、未病や重症化予防に貢献するソリューション実現にアクセルを踏みたい考えだ。

湘南アイパークが立ち上げたインキュベーション事業は、有望なシーズを持つアカデミアやベンチャーをセレクションし、選定された企業などに、資金援助や創薬研究開発のノウハウ、知的財産のコンサルティングなどを提供するというもの。湘南アイパークは、その日から実験を行えるような設備やコミュニティーを有する“場”としての力を発揮することで、育成を後押しする。

◎藤本ジェネラルマネジャー 「待ちでなく、進んでベンチャー育成を目指す」

同日、本誌取材に応じた湘南アイパークの藤本利夫ジェネラルマネジャーはインキュベーション事業を通じ、「もっと多くのスモールベンチャーに集まっていただきたい」と語った。2018年4月に開所した湘南アイパークは現在61社・グループが入居する。ただ、拠点集約化を図るほか、オープンイノベーションに取り組むなどの理由で、これまでは大企業の入居が多かった。湘南アイパークはこの事業を、アカデミアやベンチャー企業に湘南アイパークに興味をもってもらう、一つの起爆剤としたい考えだ。

藤本氏は、「待っているだけではなく、自分たちでベンチャーの育成に取り組んでいかないといけない」と力を込める。今後も企業の参画を募る考えで、現在も複数の企業と交渉を継続しているという。藤本氏は、「湘南アイパークは、あくまでひとつの“場”。いくつかの企業が独自のインキュベーションプログラムを提供していただきたい」と強調する。

湘南アイパークが目指すのは、多くの大企業やベンチャー、アカデミア、政府など様々なステークホルダーが集い、相互に影響しあうエコシステムの構築だ。すでにリース(テナント募集)やメンバーシップなどのサービスを提供するなかで、今回のインキュベーションシステムの提供で、さらに場としての強みを発揮したい考え。場としての強みを増すことで、ベンチャーキャピタルなどからの投資も呼び込み、革新的新薬創出までのスピードが加速することも期待できる。さらに、将来的にはインキュベーション事業で成長した企業が湘南アイパークにとどまり、他企業を惹きつける存在へと成長することも視野に入れる。こうした取り組みを積み重ね、革新的技術やアントレプレナー(企業家)が集う、プラットフォーマーへの道筋をつけたい考えだ。

同事業への参画を最初に決めたJ&Jは、“JLABS(Jラボ)”に代表されるように、早期からベンチャー支援に注力し、成功を収めてきた実績がある。中国や韓国、シンガポールなどアジア各国にも拠点がある。藤本氏は、J&Jが培ってきた知見を学ぶ姿勢を強調する。ベンチャーの育成に重要なメンタリングもJ&J特有で、本社の知見を遠隔で世界各地のベンチャーに提供しているという。藤本氏は湘南アイパークでは、「密接なコミュニケーションのなかでこそ、ベンチャーが育つという仮説を持っている」と説明。J&Jの
活用する遠隔モデルと組み合わせることで、最適な方法を模索する姿勢も示した。

◎メガファーマの協働で「湘南アイパークは特別な存在になる」

「私たちのミッションは、予防や治癒を視野に“病のない世界”を実現すること。それは一社ではできない。ベストイノベーターを世界中で見つけていかないといけない」―。ヤンセン研究開発事業部World Without Disease AcceleratorのMingde Xia Senior Directorは、同日神奈川県横浜市で開かれたバイオジャパン2019のシンポジウムでこう話した。

高齢化の進む日本は、がん患者も急増する。J&J Innovation Asia PacificのDan Wang Headが強調するのは、エコシステムを通じた社会課題の克服だ。「日本は非常に成功したイノベーションの礎を持っている。様々なプレーヤーとエコシステムを構築することで、急速に進展できる」と述べた。同社は公募にも「病のない世界」とキャッチフレーズを付け、未病や重症化予防に注力する姿勢を強調。創薬技術だけでなく、AI(人工知能)やロボティクスを活用したソリューションの実現を視野に入れる。

研究対象領域は、J&Jが肺がんや近視、乳幼児アレルギー、健康長寿。一方、武田薬品が中枢神経と切り分ける。選出されたベンチャー・アカデミアへの研究資金の助成は最大3年間。湘南アイパークから研究スペースを一定期間無料、もしくは格安での貸与されるほか、知的財産コンサルティングや薬事・臨床サポートなどのサービスを受けることができる。さらには、メンターシップやコーチングなども受けられるという。2020年1月に公募を開始し、6月中には採択テーマが発表される予定。

武田薬品のCeri Davies中枢疾患創薬ユニット長は、ヤンセンが統合失調症をはじめとした中枢領域に注力していることに触れ、「早期段階のパイプラインとして競合しないような形で、新たなアイデアに価値を置く方針で進めている」と説明した。今回の取り組みを通じて、「湘南アイパークは日本にとって特別な存在になる」とも強調した。
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