新型コロナ感染で「胸膜下のすりガラス様の影や湿潤影」 国立国際医療センター・忽那氏
公開日時 2020/02/14 04:51
国立国際医療研究センターの忽那賢志氏は2月13日、新型コロナウイルスによる肺炎について、胸膜下にすりガラスのような影や湿潤影などの臨床兆候がある可能性を指摘した。自身が診察に当たった経験を踏まえ、「胸部レントゲンでは判断が難しい症例が多い」との見解を示し、胸部CTの活用で患者を診断できる可能性に言及した。この日、日本感染症学会と日本環境感染学会はセミナーを開催し、新型コロナウイルスの最新情報を説明した。
忽那氏は同日、中国31省で感染が確認された1099例について解析した論文を紹介した。それによると、胸部レントゲンで異常があったのは14.7%、胸部CTで異常があったのは76.4%。また、酸素投与が必要になった症例は38%、人工呼吸管理が必要になったのは2.2%、体外式膜型人工肺を使用した例は0.5%だった。なお、論文は、BMJなどが運営するプレプリントサービスmedRxivに掲載されている。
忽那氏は、論文を踏まえ、「重症化する肺炎になる人はかなり少ない」との見方を示した。発症初期には肺炎の症状がない患者もおり、発症から肺炎と診断されるまで平均4日間との報告もある。ただ、「インフルエンザと比べ、肺炎の合併症例は多い印象がある」とも指摘。重症化のリスクが高い、高齢者や免疫疾患患者、妊婦は感染に注意する必要があると呼びかけた。
◎国内初の死者を確認 80代の日本人女性 和歌山では医師の感染を確認
この日、国内では新型コロナウイルス陽性者で初の死者が確認された。死亡したのは神奈川県に在住していた80代の日本人女性。1月22日に発症し、2月1日から県内の医療機関に入院していたが、同日死亡が確認された。女性は、新型コロナウイルスへの感染が疑われていたため、PCR検査を実施していたが、死亡後に陽性と確認されたという。
また和歌山県では、50代の男性医師が新型コロナウイルスに感染していることが判明した。国内で医療従事者への感染は初めてとみられる。現在は医療機関に入院し、容態は安定している。男性は発症する前の14日間、海外への渡航歴はなかった。
◎厚労省 無症状者の強制入院可能に 14日にも政令改正
国内での感染拡大が懸念されるなか、厚労省は無症状の新型コロナウイルス感染者についても強制的な入院ができるよう、きょう14日も政令を改正する。治療費は公費負担となる。また患者や感染の疑いがある人の検疫時の隔離や、指定の施設に滞在させる「停留」もできるようにする。クルーズ船での集団感染や無症状の感染者が見つかったことを踏まえた措置。
これまでは、症状がある患者の強制入院や、検疫時の検査などは可能だったが、無症状の人や検疫時の隔離は対象外となっていた。