田辺三菱製薬 カナダ子会社がCOVID-19のVLP作製に成功 ワクチン開発の第一歩
公開日時 2020/03/13 04:50
田辺三菱製薬は3月12日、カナダ子会社のメディカゴ社が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応したウイルスの植物由来ウイルス様粒子(VLP:Virus Like Particle)の作製に成功したと発表した。安全性、有効性に関する非臨床試験に着手しており、順調に進めば、ヒトでの臨床試験を2020年8月までに開始するために当局機関と協議したいとしている。
COVID-19のVLP作製は、ワクチンを開発するための第一歩に位置づけられるもの。VLPとは、ウイルスに類似した構造体で、通常、ウイルスはカプシドというタンパク質で出来た殻の中に、DNAやRNAなどの核酸を収めている。一方、VLPはカプシドの殻を有するもののDNAやRNAをもたないため、感染や増殖はしない。VLPが生体内に入ると、生体は外部の殻を認識して免疫反応を起こし、通常のウイルスに対するのと同様に抗体をつくって攻撃を仕掛ける。このような性質を生かし、理論上感染しない安全なワクチンの作製に応用されている。
なお、メディカゴ社はCOVID-19の原因ウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体の研究も進めている。同研究は、カナダ健康研究所から一部資金提供を受けており、同社の技術基盤を活用し、ラヴァル大学感染症研究センターと協力して行っている。