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サノフィ プラルエントの販売停止 PCSK9抗体の特許訴訟 上告を最高裁が不受理

公開日時 2020/05/08 04:52
サノフィは5月7日までに、高コレステロール血症治療薬であるプラルエントの販売を停止した。同様の作用機序を有するレパーサの製造販売元であるアムジェンとの係争により、最高裁がアムジェンのPCSK9抗体をめぐる特許を認め、同社の国内でのプラルエントの生産、譲渡、輸入又は譲渡の申し出を行うことが禁じられたため。法律上、販売が差し止められたことになる。すでに医療機関や特約店に販売済みの製品は差し止めの対象ではないとしている。

争点となったのは、PCSK9抗体の特許だ。アムジェンが所有するPCSK9抗体とその権利範囲に関する2つの特許に対してサノフィが2015年に無効審判を申し立てたことが発端となっている。特許庁は17年8月にアムジェンの特許が有効との審判を下したが、サノフィがこの審決を不服として日本の知的財産高等裁判所(知財高裁)に審決取消訴訟を起こした。18年12月にはアムジェンの特許を認める判決を下し、サノフィは最高裁に上告受理の申し立てを行っていた。

これに対し、アムジェンは17年にサノフィに対し東京地方裁判所(東京地裁)に特許侵害訴訟を提訴。東京地裁は19年1月、アムジェンの特許の有効性を認め、サノフィに対し、プラルエントの生産、譲渡、輸入または譲渡の申し出を禁じる判決を下していた。サノフィはその後、知財高裁に控訴したが19年10月、原判決を支持する判決を下した。そのため、サノフィは最高裁に上告受理の申し立てを行っていた。

最高裁は、サノフィからの2本の上告受理申し立てに対し、4月24日に、いずれも不受理とする決定を行った。アムジェンの特許権が国内では有効であることが確定し、結果として、サノフィが国内でプラルエントの生産、譲渡、輸入又は譲渡の申出を行うことが禁じられた。

 なお、同様の訴訟は、米国など複数の国で行われているが、結論が出ていない国もあるという。

◎4月27日以降プロモーション活動停止 GW明けから医療機関への情報提供を開始

これを受け、サノフィは4月27日以降、受注やプロモーション活動を停止。5月7日から本格的に医療機関への情報提供を開始していた。サノフィは本誌に対し、「特許の正当性を信じていた。治療選択肢を増やすことは患者を考えると必要だと考えていた。極めて遺憾だ」とコメント。同剤を担当するMRについては、循環器や代謝領域の複数の製品を扱っていることから、「この影響で組織へのインパクトがあるということはない」と説明。これによるMRなどの人員削減などについては「現時点では考えていない」としている。

◎アムジェン「治療継続を希望する患者の利益を最優先に」

アムジェンは本誌に対し、「重篤な疾病と闘う患者さんの治療ニーズに応える医薬品の創出には大きな投資が必要で、創薬におけるイノベーション促進のために、特許権の保護はアムジェン社のみならず、バイオテクノロジーおよび医薬品産業全体にとって必要不可欠」と指摘。「創薬におけるイノベーションを保護するため、特許権の侵害に対しては一貫した措置を講じる」との姿勢を示した。この結果として、将来にわたり革新的新薬を患者に届けることができるとの考えを強調した。

そのうえで、レパーサの製造販売元として、「医療現場に混乱を来さないよう細心の注意を払いながら、速やかに最高裁決定に基づき対応していく予定だ。共同販売会社であるアステラス製薬と、医療関係者を含む関連パートナーとの緊密な連携の下、PCSK9阻害剤による治療の継続を希望する患者さんの利益を最優先に努める」としている。


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