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WHO 抗マラリア薬・ヒドロキシクロロキンの臨床試験を一時中断

公開日時 2020/05/27 04:52
WHO(世界保健機関)は5月25日、抗マラリア薬・ヒドロキシクロロキンの新型コロナウイルス感染症の有用性を検証する臨床試験を一時中断すると発表した。ヒドロキシクロロキン、もしくはクロロキンの投与により死亡率が上昇し、心室頻拍がみられるとの論文が医学誌「The LANCET」に22日、掲載されたことを踏まえたもので、安全性が確認されるまで試験を中断する考え。

論文では、新型コロナウイルス感染症で入院する患者9万6032人を、治療群1万4888人、対照群8万1144人にわけ、治療効果を検証した。治療群は、クロロキン単独投与が1868例、ヒドロキシクロロキン単独投与が3016例、クロロキンとマクロライド系抗生物質の併用が3783例、ヒドロキシクロロキンとマクロライド系抗生物質の併用が6211例だった。

登録された患者のうち、11.1%(1万698例)が死亡した。複数の交絡因子を踏まえて解析した結果、死亡率は対照群の9.3%だったのに対し、ヒドロキシクロロキン単独群では18.0%(ハザード比:1.335、95%CI:1.223-1.457)、ヒドロキシクロロキンとマクロライド系抗生物質の併用群では23.8%(HR:1.447、1.368-1.469)、クロロキン単独群では16.4%(HR:1.365、1.218-1.531)、クロロキンとマクロライド系抗生物質の併用が22.2%(HR:1.368、1.273-1.469)で、いずれも有意な入院中の死亡率の上昇がみられた。

また、入院中の心室性不整脈が対照群の0.3%に対し、ヒドロキシクロロキン単独群では6.1%(HR:2.369、1.935-2.900)、ヒドロキシクロロキンとマクロライド系抗生物質の併用群では8.1%(HR:5.106、4.106-5.983)、クロロキン単独群では4.3%(HR:3.561、2.760-4.596)、クロロキンとマクロライド系抗生物質の併用が6.5%(HR:4.011、3.344-4.812)で、関連性が認められた。

研究グループは、「マクロライド系抗生物質の投与の有無によらず、ヒドロキシクロロキン/クロロキン投与のベネフィットは認められなかった」と結論づけている。

なお、ヒドロキシクロロキン(製品名:プラケニル)の製造販売元であるサノフィは4月28日以降、新型コロナウイルス感染症患者への投与により、心停止を含む重篤なQT延長に関連する事例があったとして医療関係者に注意喚起していた。国内でも、QT延長の誘発が知られる抗菌薬・アジスロマイシンと併用した症例で心室細動が報告されていた。同剤は、国内で「皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス」の適応で承認されており、添付文書でも、過量投与時の QT 間隔延長については添付文書上で注意喚起。必要に応じて ECG 測定等のモニタリングを実施することなどを求めていた。
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