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中医協で製薬団体 中間年改定「乖離率が著しく大きい品目」を容認 支払側「JGAは賛同しているの?」

公開日時 2020/11/26 04:52
日本製薬団体連合会(日薬連)など、日米欧製薬3団体は11月25日、中医協薬価専門部会で意見陳述に臨み、薬価中間年改定の対象範囲について「乖離率が著しく大きい品目」に限定するよう主張した。2021年度改定は中間年改定の初年度となるが、これまで同様、新型コロナの影響を踏まえた「慎重な検討」を求めた。これに対し、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、乖離率に着目した改定の実施について、「日薬連の傘下にある日本ジェネリック製薬協会(JGA)なども賛同しているのか。後発品に偏る改定になることが懸念される」と製薬業界側を質した。これに対し、日薬連の手代木功会長(塩野義製薬社長)は、「現時点では薬価調査等の結果等もすべて出ているわけではないので、基本的な考え方に合意をいただている」と述べ、製薬業界の“総意”だと強調した。この日の薬価専門部会にJGAは同席せず、発言はなかった。

◎幸野委員「乖離率にすると偏りが出る」 吉森委員「率だけ着目」は慎重に

中間年改定の対象範囲については、「価格乖離の大きな品目」とされており、乖離率か乖離額か、の率・額論争も起こっていた。乖離率に着目すると、相対的に低薬価である後発品がターゲットとなることが指摘されている。この日の意見陳述で、日薬連の手代木会長は、中間年改定について、「2年に1回の通常改定とは異なる位置づけ」と強調。「薬価と実勢価格の乖離率が著しく大きい品目について、薬価の補正を行うものであると認識している」とした。”乖離率”とした理由については、「率が大きくなくても額をと考えると、各社卸も含めて流通改善に取り組みながら一生懸命ものをお届けするという主旨にも外れてしまう。売れているものだけの薬価が下がり続けるというのではなく、流通改善を守りながら売っているものについてはお守りいただきたい」などと訴えた。

これに対し、支払側からは懸念が相次いだ。幸野委員は、「乖離率にすると偏りが出てくる。慎重に考えるべきだ」と指摘。幸野委員に続き発言した吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も、「乖離率にのみ着目すると、後発品については薬価の水準が高くない中で、率だけに着目すると、色々な状況が出てくる。慎重に考えないといけない」との考えを示した。

◎新創品の累積控除「特許後は後発品に道を譲る」という業界主張に反しないか 幸野委員


中間年改定の対象とするルールについては、「市場実勢価格に基づき行うルール及び実勢価改定と連動し、その影響を補正するルールのみ実施すべき」と主張した。これに対し、支払側の幸野委員は、新薬創出等加算の累積額の控除についての意見を求めた。2019年10月の消費増税改定の際には製薬業界の要望もあり、対象からは除外された経緯がある。幸野委員は、製薬業界が主張してきた新薬創出等加算の“コンセプト”に言及。新薬創出等加算が試行的導入されて以降、製薬業界は一貫して、特許後に後発品に道を譲るという大原則のもとで、特許期間中の評価を求めてきた。幸野委員の指摘は、こうした「企業のコンセプトとも違うのではないか」というものだ。

◎手代木・日薬連会長「現時点で一切考え方を変えていない」と反論

これに対し、手代木会長は、「消費税改定に伴う薬価改定の時に主張した考え方から現時点で一切考え方を変えていない。実勢価格に基づく、連動するもののみで行っていただきたい」と主張。米国研究製薬工業協会(PhRMA)のクリストファー・フウリガン在日執行委員会委員長は、「一番重要なのはイノベーションのある薬剤、新薬は必ず守っていかなければならないことだ。革新的新薬が日本の患者、日本の社会に最大限の価値を提供できる。毎年改定が行われるとなると、G7の中で唯一日本が毎年、革新薬の薬価を下げる国になってしまう」との見解を表明した。

欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)のハイケ・プリンツ会長は、「業界は、事業の予見性がいかに重要か、何度も主張している。さらに薬価制度のルールが変更されると、研究開発の意欲を削がれる」などと訴えた。ただ、いずれも質問にあった新薬出等加算のコンセプトについては言及しなかった。

幸野委員は、「イノベーションを評価されたものは特許が切れたら後発品に譲るという考えは企業のコンセプトでもある。それは堅持していただきたい」と釘を刺した。

◎国民負担の軽減こそ「皆保険のプレイヤーである製薬、卸、医療界全ての役目では」

幸野委員はさらに、「医療界、薬価、製薬、卸は大変な状況だとおっしゃったが、コロナ禍は医療界や製薬業界、卸だけが打撃を受けているわけではない。もっと大変な打撃を受けている企業はたくさんある」と指摘。「薬価改定に配慮してほしいというのではなく、日本全体が危機的状況に陥っている今だからこそ国民負担の軽減を行うべきではないか。それが、皆保険のプレイヤーである製薬、卸、医療界全ての方の役目ではないか」と述べた。

◎フウリガンPhRMA委員長 医療費抑制の70%が薬剤費削減「大変大きな貢献」と反論

これに対し、PhRMAのフウリガン在日執行委員会委員長は新薬創出等加算の適用となる医薬品の数が減っていることを説明。さらに、「医療費抑制のうち、約70%が薬剤費の削減で生まれてきている。それだけ私たちは大変大きな貢献をしてきているということは忘れてほしくない」と反論した。

◎診療側・今村委員 医療機関は「コロナの苦労の上に薬価改定の負担も追う」


診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、「フウリガンさんとは多少ニュアンスが違う」と前置きしたうえで、「医療者は、すでに自分のリスクを感じながら、国民の苦しんでいるコロナの方たちに日々対応している。今回の冬のインフルエンザが流行する可能性もある中で、発熱外来に多くの医療機関が協力している。そういった苦労の上に、薬価改定の負担を負うということについて配慮してほしいというお願いをしている」と述べ、医療従事者側の負担に対して、理解を求めた。

◎診療側・松本委員「まさにその通り」と製薬業界に理解

一方、診療側はこの日の製薬業界の意見陳述に一定の理解を示した。診療側の松本吉郎委員は、日薬連の主張に対し、「まさにその通りだ」と賛意を示した。薬価調査の実施時期である9月について平時とは異なるとの業界の主張にも同意した。診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、毎年薬価改定の導入による医療機関や薬局の負担について、「経営的観点から在庫負担、レセコン、薬価が変わったことによる患者への説明など現場の業務負担を想定する」と述べ、製薬業界側も同意した。

◎卸連は欠席 林経済課長が代わりに卸連の提出資料を説明

この日、日本医薬品卸売業連合会(卸連)は、4大卸が独禁法違反の疑いで捜索を受けていることを「真摯に受け止める」として、意見陳述を控えた。ただ、薬価専門部会には前日開催した流改懇の資料を提出し(関連記事)、厚労省医政局経済課の林俊宏課長が代わりに説明した。

◎中村部会長 卸連の「意見陳述見送りなのに資料に意見が記されていた」不快感

会議終了直前に中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)は、4大卸の独禁法違反容疑に触れ、「事実とすれば、薬価制度の根幹にかかわりかねない。今回の捜査で関係者の不信を招いたこと、国民の疑惑を生じさせたことを真摯に受け止めてほしい」と述べた。そのうえで、卸連が薬価専門部会に提出した資料のなかに意見が記されていたことに言及し、「今回意見陳述を見送るということだったが、意見が書かれていたことに違和感があった。流改懇の資料ということだが、中医協の資料として残る。今後はこういった点も考慮していただきたい」と釘を刺し、この日の薬価専門部会は幕を閉じた。

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