田辺三菱製薬 新型コロナ治療薬開発へ 中和抗体で慶應医学部と共同研究契約締結
公開日時 2021/02/19 04:50
田辺三菱製薬は2月18日、新型コロナウイルス感染症の治療に応用可能な中和抗体をめぐり、慶應義塾大医学部と共同研究契約を締結したと発表した。現在は動物実験を実施しているという。国産の治療薬として、早期の実用化を目指す。
新型コロナに対する中和抗体の取得に成功したのは、慶應義塾大と滋賀医科大、理化学研究所で構成する研究グループ。中和抗体とは、ウイルスの活性に重要な部位に結合してその機能を阻害し、ウイルスを不活化する能力を有する抗体。新型コロナでは、ウイルス表面のSpikeタンパク質に結合し、ACE2との結合を防ぐことで効果を発揮するという。
研究グループでは、新型コロナ回復患者の血清中の中和抗体価を測定し、高い中和抗体を持つ患者の血液からSpikeタンパク質に対する抗体を産生するB細胞を採取。抗体の遺伝子配列を特定し、配列を基に研究室で400種対以上の抗体を作成した。このうち、Spikeタンパク質とACE2の結合を阻害する効果の高い抗体を特定。抗体が細胞へのウイルス感染をどの程度防げるかを調べる中和実験を行い、11種類の抗体を特定したとしている。
なお、中和抗体としては、米Regeneron社や米イーライリリーが開発した中和抗体製剤が米FDAから緊急使用許可(EUA)を受けている。