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田辺三菱製薬・上野社長 「誰もやったことのない疾患や創薬にチャレンジ」 特許品比率向上へ意欲

公開日時 2021/03/22 05:00
田辺三菱製薬の上野裕明代表取締役社長は本誌取材に応じ、4月からスタートする新中期経営計画のスタートに向けて、「誰もやったことのないような疾患や医薬品の創薬にチャレンジしたい」と意欲を語った。中枢神経と免疫炎症領域を重点領域に据え、特定の疾患で圧倒的な強みを有する企業に成長していく姿を描く。ラジカヴァで培った創薬情報の多い筋萎縮性側索硬化症(ALS)については、「世界で一番情報を持っているのは当社だと思っている」と自信をみせ、こうした疾患領域の強みを生かし、最適なパートナーと組み、国境を超えたバリューチェーンを展開する考えを示した。今後は、特許品の構成比率が上がることを見据えるが、長期収載品については、「昨今のジェネリックの品質問題もある。品質面を維持しながら、必要とされる医薬品については安定的に供給していけるような体制を今後も続けていきたい」と語った。

「中期経営計画21-25」が4月からスタートする。中枢神経、免疫炎症領域を中心に「プレシジョン・メディシン」をキーワードに革新的新薬を創出。さらに、米国と日本を中心とした事業強化と新たな顧客接点の確立に向けて「アラウンドピルソリューション」を展開することを盛り込んだ。医薬品を核に、予防から予後にかけてソリューションを提供する姿を描いた。

上野社長は、約300年間の同社の歴史を振り返り、「世界に貢献できる医薬品を創出してきた経験と実績がある。この遺伝子を維持しながら、これまでにない医薬品に取り組めるような会社になっていきたい」と意欲を語った。

◎ALSを起点に中枢神経領域にビジネス拡大 アラウンドピルソリューションも

希少疾患や難病のなかに、「自分たちのプレゼンスを発揮できるような、疾患が必ずある」との考えを示す。その一つの例が、ALSだ。ラジカヴァは米国で約20年ぶりのALSの新薬となった。これにより、KOLとの関係が構築でき、患者情報も蓄積されてきていると説明。ALSを起点に、原因遺伝子や病態生理が共通する神経難病に対してビジネスを拡げていく考えを示した。「自分たちの強みを生かし、他もやっていないところを我々の勝負所としてやっていく」と語った。

ALSについては治療薬に加え、すでに“アラウンドピルソリューション”にも取り組む。振動の震えを補足したALSの早期診断支援ソリューションや、服薬支援ソリューションなどに取り組む。上野社長は、「米国でラジカヴァを起点としたアラウンドピルソリューションの仕掛けを作り始めている。そこから得られるレッスン&ラーン(Lesson&Learn)を活かしていく。いま、走りながら学んでいくフェーズだ」と述べた。

早期診断と服薬支援に注力する理由について上野社長は、「なるべく早く診断されることで、治療に入り、我々のピル(医薬品)を使っていただくタイミングが早くなる。服薬支援でより長く、よりコンフォタブルに我々の医薬品を使っていただけるような環境を作る」と説明する。そのうえで、「その先に、ピルには直接かかわらないが、患者さんのQOLを上げるために必要なソリューションは、この先取り組んでいくかどうか。自分たちでやるのか、パートナーに任せるかは今後考えていく」と述べた。

◎創薬挑戦のキーワードは“プレシジョン・メディシン”


創薬挑戦のキーワードには、“プレシジョン・メディシン”を据える。ゲノム・オミックス情報が重要になるなかで、「日本だけでなく海外の情報も活かしながら我々の研究開発に活かしていきたい。ただ、我々としては日本に医薬品をと考えると日本の患者さんのゲノム情報が早く使えるような環境にしていきたい」と述べた。内閣府健康・医療戦略推進本部のゲノム医療推進協議会の委員も務めるなかで、政府やアカデミアとの議論に積極的に参画する考えも示した。

こうしたなかで、医薬品の研究開発から製造、営業のバリューチェーンについて、国境を越えて構築する考えを示した。研究開発など、“モノづくり”についてはバイオベンチャー、グローバルでの大規模臨床試験が必要なケースではメガファーマなど、最適な相手と組む必要性を強調した。

現在、糖尿病領域などに強みを有する同社にとっては大きな転換を求められるが、「色々な意味でカルチャーチェンジかなと思う」と述べた。SGLT2阻害薬やDPP4阻害薬の開発に際しても、「相当チャレンジがあった。本質は変わらないのではないか」と述べた。そのうえで、「新しいモダリティをどう組み合わせていくか。そこにどうデジタルを融合していくかが最大のチャレンジだ」と述べた。モダリティについては、「あくまで手段であって、こだわりは疾患領域だ」と強調。自社ですべて完結するのではなく、オープンイノベーションにも積極的に挑む考えを示した。そのうえで、「核酸医薬や遺伝子治療、抗体医薬に置き換えられるような中分子」などを新たなモダリティにあげた。さらに、この際に製造技術まで有する重要性を強調。モダリティが変化するなかで、「製造まで新たなモダリティに転用できるか」まで視野に入れる必要性も指摘した。

◎長期収載品「今後も必要とされる医薬品については安定供給していきたい」

現在の業績を支える長期収載品については、「必要であるがゆえに長きにわたって医薬品としてのプレゼンスを示している。今後も必要とされる医薬品については安定供給していきたい」と述べた。長期収載品の譲渡なども相次いでいるが、「検討は常にしているが、現時点ではそういう考えではなく、自分たちで支えられるものはしっかりやっていきたい」と述べた。

そのうえで、「長期的には、特許品の割合をもっと上げていかないといけない。海外比率を上げていくことは成長という意味では必須だと考えている」と述べた。海外市場としては、米欧、アジアでの成長を視野に入れる。一方で、国内市場については「マザーマーケットだと考えている」との考えを強調。「コロナ感染と医薬品というのが国防的な観点からも安定供給が必要だと考えている。海外には進出しているが、日本の製薬企業であることを再認識して、日本市場には今後も必要な医薬品は継続的に安定供給していきたい」と語った。

◎新型コロナワクチン「なるべく早く日本に持ち込みたい」

このほか、カナダ子会社のメディカゴ社が開発を進める新型コロナウイルス感染症ワクチンについては、カナダおよび米国規制当局から、第3相のフェーズに入った。上野社長は、「なるべく早く日本に持ち込みたい。臨床試験をやる必要があると認識している。それに向けて当局と相談している。その前提としてはP3がどのタイミングで進んでいくかということになるので、それを見据えながら、いつ日本にということを決めていきたい」と述べた。

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