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エーザイ・内藤CEO 21年度始動の新中計「EWAY FUTURE & BEYOND」紹介 市場・産業変化に対応

公開日時 2021/03/29 04:51
エーザイの内藤晴夫代表執行役CEOは3月26日、オンラインによるインフォメーションミーティングに臨み、2021年度からスタートする新中期経営計画「EWAY FUTURE & BEYOND」を紹介した。神経領域のアルツハイマー病やオンコロジーに立脚し、サイエンスに基づくソリューションを創出・提供するというもの。エーザイが培った「hhc理念」と、他産業や自治体とのパートナリングでエコシステム「Eisai Universal Platform(EUP)」を構築し、健常状態、発症前後、診断、治療、アフターケアの各段階をソリューションのパッケージで支援する。内藤CEOは、こうした取り組みを通じて治療や介護に要する社会負担や疾病負担を少しでも軽減できる社会実現にエーザイとして貢献する考えを明らかにした。

同社は今回発表した新中期経営計画「EWAY FUTURE & BEYOND」に先立ち、2016年~20年を期間とする「EWAY CURRENT」に取り組んできた。内藤CEOはその成果に触れ、営業利益(1020億円以上⇒1255億円)、当期利益(740億円以上⇒1225億円)、ROE(15%⇒18.6%)ともに19年度実績ですべて目標を達成できたと報告した。なお、5年間平均ROEは10.1%。定性的成果では、抗がん剤レンビマのブロックバスターへの成長や、アデュカヌマブ、レカネマブが世界初のアルツハイマー病疾患修飾薬(AD-DMT)として開発の最終段階にあることをあげた。

健常人を加えた“The People”にソリューションを提供

21年度から始動する新中期経営計画「EWAY FUTURE & BEYOND」について内藤CEOは、①世界的な超高齢化社会の到来、②薬剤を含むソリューションの提供、③各バリューチェーンの技術融合やシンクロ-といった市場・産業構造の変化を捉えた前提条件が必要であると説明。「これまでの製薬産業は患者に薬剤を届けるが使命だった。これからは健常人を加えた“The People”に対しソリューションを提供する。薬剤はその一部であるという考え方に進化する」と強調した。

内藤CEOはまた、「製薬産業が強みを発揮してきた創薬分野で、近年は様々なスタートアップが存在感を発揮している。コマーシャル分野もデジタル関連のスペシャリスト、ベンチャー、スタートアップが様々な得意技をもって、このエリアをカバーしている」と見通し、「これからは水平分業をしっかり見据えながら仕事をしてくことが大切になる」と強調した。

◎AIなど最新テクノロジーをいかにキャッチアップするか

内藤CEOは産業競争力の変化にも触れ、「これまで製薬産業の競争力と言えば新薬創出力と営業力の2つに大別された。いまは産業や企業の競争力はマルチディメンショナルで評価される時代となった。その筆頭はサイエンスの進化にある」と強調し、「AIなどの予測技術、オミックス技術などは日進月歩。これをいかにキャッチアップできるか。R&Dだけでなく、すべての事業がキャッチアップできるかが競争力になってきた」と述べた。

◎他産業や自治体との共生でプラットフォーム「EUP」構築へ


新中期経営計画「EWAY FUTURE & BEYOND」は、2021年度~25年度が「EWAY FUTURE」、26年度以降を「EWAY BEYOND」と二段構えの構成となる。その理念は、内藤CEOが提言する“The People”を支えるソリューションを他産業や自治体との共生によりプラットフォーム(EUP)を通じて提供するというものだ。同社が描くプラットフォーム上には、保険、食品、フィットネス、自動車、通信、金融などの各産業と地方自治体、企業健診などのパートナーが並ぶ。こうした産業とのパートナリングを通じ、健常状態から疾患啓発、予防治療、検査・病院検索といった「日常領域」と、確定診断、治療、アフターケアという「医療領域」を横串につなぐプラットフォームを描いている。

◎認知症における「The Peopleの憂慮の取り除き」をイメージ

例えば認知症における具体例では、ウェアラブルヘルスアプリによる健康状態の維持、相談サイトやヘルスケアアプリによる認知機能チェック、血液バイオマーカーや診療ネットワークを使った確定診断、治療時における効果・副作用のモニタリング、地域医療・介護連携によるアフターケアなど、「The Peopleの憂慮の取り除き」などのイメージを用意した。

このほかEUPによるソリューション創出の一例として、国内外の認知症コホートデータとエーザイの臨床試験データを使った、MCIリスク予測モデルや認知症発症予測アルゴリズムによる「行動変容アドバイス」ソリューションを想定。また同様に、Aβ陽陰性予測モデル、AD自然経過モデル、AD関連遺伝子多型アルゴリズムによる「ADコンティニューカーブ」というソリューションパッケージを創出し、提供する。内藤CEOは、「データに基づくエーザイにしかできないソリューションを提供することができる」と強調した。
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