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製薬協・岡田新会長 製薬産業を健康寿命の延伸と経済成長に貢献する存在に 国民からの理解に「全力尽くす」

公開日時 2021/05/21 04:53
日本製薬工業協会(製薬協)の新会長に就任した岡田安史氏(エーザイ代表執行役COO)は5月20日、会見に臨み、「革新的イノベーションを創出し、健康寿命の延伸、また我が国の経済成長に貢献するために、我々製薬産業は不可欠で、国民から理解と絶大な支援を受ける存在になるよう全力を尽くす」と決意を語った。製薬企業もこれまでの治療だけでなく、予防や先制医療などのソリューションを提供する姿へと転換していく必要性を強調した。そのためには、①ライフサイエンスクラスター、②ビッグデータ基盤、③イノベーションを適切に評価する薬価制度構築―を核としたヘルスケア産業エコシステムの構築が重要だとの考えを表明。こうした施策の実現に向け、国民をはじめとしたステークホルダーに理解を求めていく姿勢を示した。

◎製薬産業の競争力の源泉もサイエンス力や営業力からシフト

「グローバルに多様化、高度化するヘルスケアニーズを充足していくためには、製薬産業はまさに転換を求められている」―。岡田会長が就任会見でまず口にしたのが、製薬産業を取り巻く環境変化だ。

製薬産業は、これまで研究開発から販売に至るまでのすべてのバリューチェーンを内製化する“自前主義”だった。しかし、技術革新も進むなかで、「それぞれの強みを有する企業と連携する水平分業が極めて重要になる」との考えを表明。自前主義の時代に主流だった規模追求型のM&Aは「陳腐化」する一方で、「IT、デジタル企業、データを取り扱う企業、ベンチャー、アカデミアなど幅広いパートナーとの連携が非常に重要になってきている」と述べた。「競争力の源泉も、サイエンス力や営業力という軸から、独立性の高いコーポレートガバナンス、人権、ダイバシティ―、環境問題、SDGsへの取り組みなど多様な要素となる変化が起きつつあることにも留意しないといけない」との見方を示した。

◎ビジネス領域を健康管理や予防、先制医療に拡大 健康寿命延伸へ

岡田会長が製薬産業の目指す姿として掲げたのが、①新薬創出により、アンメットメディカルニーズを充足し、健康寿命の延伸に貢献する、②日本の基幹産業として経済成長に貢献する―ことだ。「製薬産業は対象とするビジネス領域を疾患発症前の健康な方々にまで拡大し、日々の健康管理から予防、先制医療まで幅広いソリューションを提供し、健康寿命を延伸するという概念で、製薬企業が自ら変化を遂げていかなければならない」と述べた。

コロナ禍で国民から製薬企業への期待も高まっている。世界主要国が自国のワクチン確保に走るなかで、「ワクチンや医薬品は国家の安全保障政策として自国民を守る、外交カードとしての活用など、戦略資産として位置づける状況になりつつある」との見解を表明。「日本の製薬産業は、国家安全保障の面からも、産業政策がきちんと議論される時期に来た」との見解を示した。一方で、国民が待ち望む国産ワクチンの研究開発は、海外に遅れをとっている状況にある。岡田会長は、「研究開発基盤の脆弱性が明らかになった。将来起こり得るパンデミックへの対応だけでなく、今なお存在するアンメットメディカルニーズを革新的新薬で充足し、日本国民の命と健康を守るためには創薬力強化が極めて重要だ」との考えを示した。

◎ライフサイエンスクラスター、ビッグデータ基盤、薬価制度を3本柱に

そのうえで、①ライフサイエンスクラスター、②ビッグデータ基盤、③イノベーションを適切に評価する薬価制度構築―を核とする「ヘルスケア産業エコシステムを構築することが重要」との考えを示した。

ライフサイエンスクラスターについては、「起業家精神旺盛な人材(アントレプレナー)が集い、最先端の研究を行うベンチャーが起業し、各種研究機関が集積するような拠点を日本の中に形成することが重要だ」と述べた。製薬企業のほか、アカデミアやベンチャー、医療機関など様々なプレイヤーが参画する、いわばオープンイノベーションの集積地ともいえるものだ。米国ではボストンやシリコンバレーなどがあり、革新的新薬創出の原動力となっている。岡田会長は、新型コロナワクチンの研究開発を引き合いに、「国家安全保障の問題や、日本経済の成長を牽引することを考えたうえで、日本のなかにライフサイエンスクラスターを形成していくことは非常に重要だ」と強調。こうした場所が日本に構築されることで、日本人データも集積し、さらに生まれたイノベーションが評価される循環型のシステムの姿を描いた。この実現には、アントレプレナーを育む教育体系が重要との考えも示した。

◎健康医療ビッグデータの利活用「医療コスト効率化は薬価引下げよりもはるかに大きい」

デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けて、ビッグデータ基盤整備の重要性も強調した。カルテ情報やゲノムオミックスデータなどの健康医療ビッグデータの利活用は、革新的新薬創出だけでなく、疾患の予知や予防、超早期発見、個別化医療につながると説明。これにより、「国民の健康増進、QOL向上、ひいては健康寿命の延伸に貢献する。日本国民を幸せにする力を持っている」と強調。「医療コストの効率化は財政的に見ても薬価引下げよりもはるかに大きな貢献をもたらす」とも述べた。

未病や予防領域のソリューションの評価の在り方については、対象範囲が健康な人にまで拡大することで、社会保障の枠の中か外か、の議論になると見通した。そのうえで、「認知症もそうだと思うが、極めて早期で、プレクリニカルから健常人に薬剤を投与することが社会保障上、どう捉えられていくかという議論は今後、しっかりとしていかなければならない」との見解も示した。このほか、薬価制度については「新薬の特許期間中の維持が何よりも優先されるべきだ」と述べた。

製薬協は同日の総会で、会長、副会長を選任した。副会長は、上野裕明氏(田辺三菱製薬株式会社社長)、安川健司氏(アステラス製薬社長)、手代木功氏(塩野義製薬社長)、眞鍋淳氏(第一三共社長)、野村博氏(大日本住友製薬社長)、岩﨑真人氏(武田薬品取締役日本管掌)、小坂達朗氏(中外製薬会長)。任期は2年間。

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