厚労省 「ドローンによる医薬品配送GL」を都道府県に通知 配送時の服薬指導の適切実施求める
公開日時 2021/06/25 04:50
厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長と医政局総務課長は6月22日付で、「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」を都道府県宛に通知した。薬局や医薬品卸がドローンを活用してへき地や離島に医薬品を届ける場合、薬剤師が服薬指導を適切に実施することや、品質を保持することなどを定めた事業計画を策定するよう、求めた。事業計画では、ドローンの飛行を航空会社などが担う場合、航空法上の責任主体を明確にすることも求めている。
◎大手調剤チェーンなど実証実験の機運高まる
ドローンを活用した実証事業は、アインホールディングスや日本調剤など大手調剤チェーンがへき地や離島などで、オンライン診療・オンライン服薬指導から一気通貫のモデルとして実施している。製薬企業では、武田薬品が実証事業に参画するなど、取り組みが拡がっている。
◎内閣官房、国交省、厚労省が取りまとめ ドローンが最適配送と判断した場合に活用
ガイドラインは、内閣官房、国土交通省、厚生労働省が取りまとめた。ガイドラインではまず、薬剤の品質確保や、患者本人への速やかで確実な授与、患者のプライバシー確保などを十分に検討し、ドローンが最適な配送手段だと判断した場合に活用するよう、求めた。
そのうえで、実施する場合は、①運航主体の特定と責任主体の明確化、②服薬指導の実施、③品質の確保、④患者に対する確実な授与および紛失の防止、⑤事故発生所の対応―についてドローンの事業計画の策定を求めた。
◎品質確保は温度管理を含めて担保が必要 配送責任の明確化も
品質確保については、他の手段と同様に温度管理を含めて担保されることが必要とした。薬局開設者は調剤した薬局で必要な梱包を行う時点から、患者の手に渡るまですべての過程で手順を定めることを求めた。ドローン到着から患者の手に渡るまでの配送責任を明確化することも求めた。薬剤を受け取り、患者に手渡すのは、へき地診療所の看護師など医療従事者が行うことを原則とした。やむを得ず、医療従事者以外の人を介さざるを得ない場合には、薬剤の内容がわからないよう封をするなど、プライバシー確保に万全を期すとした。また、宅配ロッカーなどを用いる場合や、医療従事者以外の人が患者本人に薬剤を渡す場合は、薬局開設者が確実に患者に授与されたことを電話や配達記録などで確認することを求めた。
◎ドローン墜落時や不時着時の対応も明記
ドローンが墜落や不時着した場合の対応についても明記した。薬剤を確実に回収できるよう、飛行状況の管理をするとともに、墜落・不時着の際には直ちに捜索、回収を行うことも求めた。さらに、拾得者が誤って開封できないよう、鍵をつけるなどの措置を行うとともに、「本人または関係者以外は開封厳禁」との旨や連絡先をわかりやすく記載することとしている。これらの担保のために、薬局開設者は配送事業者との契約で明記することも求めている。麻薬・向精神薬や覚せい剤原料、放射性医薬品、毒薬・劇薬など流通上厳格な管理が必要な薬剤については実証実験、社会実装にかかわらず、ドローンによる配送は避けることとしている。
また、これらの実施計画の策定は、実証事業対象地域の自治体における医務・薬務主管課に報告するとともに、当該地域の医療関係者、医師会、薬剤師会等の関係団体に事業計画を報告し、緊密に連携することとしている。
なお、医療機関による配送でも同様の内容を求めたほか、医薬品卸の医療機関への配送でも品質の確保など、事業計画を策定すること、としている。