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倉敷中央病院 病院薬剤部と地域薬局で患者情報を共有 周術期の薬学的管理の課題克服へ

公開日時 2021/07/28 05:00
倉敷中央病院薬剤部は、地域のかかりつけ薬局・薬剤師と入院患者の情報共有を開始することを本誌に明らかにした。8月2日から開始する。同院は、入院が決まった患者の手術予定などの情報をかかりつけ薬局に提供する。一方で、かかりつけ薬局からは、入院患者の現在服薬中の薬剤情報などを提供してもらう。これにより、抗血小板薬や抗凝固薬など、術前に休薬が必要なケースも円滑な薬学的管理を可能にしたい考え。退院時カンファレンスの情報などもかかりつけ薬局・薬剤師と共有し、地域で切れ目のない薬物療法の実現を目指す。

同院では手術前の外来(術前外来)で、薬剤師が患者の服薬中の薬剤を把握し、患者に指導を行っている。抗血小板薬や抗凝固薬などについては、手術の数日前から休薬が必要になるためだ。休薬が必要な場合や、手術・治療前に注意が必要な薬剤については薬剤師から患者に説明をしているという。ただ、複数の疾患を抱え、複数の医療機関を受診する患者も少なく、服用しているすべての薬剤を把握するのが難しいケースもある。

一方で、かかりつけ薬局にとっては、手術や入退院の情報は患者から話を聞く以外に、情報を得る手段がない。しばらく来局しない患者が実は入院していた、というケースも珍しくないという。入院中の治療内容がわからず、入院前後で処方薬が変更されても十分な服薬指導ができないケースもある。こうしたなかで、倉敷市薬剤師会の勉強会などでは、地域保険薬局の薬剤師から、「入院が決まったら連絡をいただけたら嬉しい」という声もあがっていた。

◎退院時カンファレンスや入院中の投薬歴も共有

今回の取り組みでは、こうした周術期の薬学的管理の課題を情報共有により克服することを目指す。同院からは、手術の予定があり、情報共有に同意した患者について、入院や手術などの予定、術前に休薬すべき薬剤情報、退院時カンファレンスの予定、入院中の投薬歴、副作用発現状況、アドヒアランスなどの情報をかかりつけ薬剤師に共有する。一方で、かかりつけ薬局からは、現在服用中の薬、健康食品・サプリメント、副作用歴、アドヒアランスなどの情報を共有してもらう。倉敷市薬剤師会を通じて、取り組みへの参画を呼びかけている。まずは、FAXでの情報共有を開始するという。

情報共有により、病院薬剤師にとっては、治療・手術を受ける際に中止が必要な薬剤の把握、薬の飲み合わせの確認などを正確に行うことができる可能性が高まる。多くの時間を取られる患者の持参薬チェックも効率化できることや、副作用の早期発見に期待を寄せる。また、かかりつけ薬局からの服薬指導も含め、抗血小板薬や抗凝固薬を服用しているがために、予定通り手術を受けられない患者がいなくなることを目指したい考えだ。

退院後も、入院中の情報を把握することで、かかりつけ薬剤師が継続的な薬物管理につながる。服薬後のフォローアップや服薬情報の一元管理を求められるなかで、かかりつけ薬剤師の職能発揮も後押しする。病院と薬局で同じ説明を何度もすることに違和感を覚えている患者もいるなかで、情報共有によりこうした患者の不安をぬぐうことにも期待を寄せる。

高齢化が進み、地域包括ケアシステム構築の重要性が指摘される。担当する前川綾子薬剤師は「薬局も病院の薬剤部も連携に共に参加し、情報を共有する。共有した情報を使い、患者さんにより質の高い医療を提供することにつなげられていければ」としている。



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