厚労省・水谷課長 世界同時開発やロス品目解消など「ビヘイビアの変化示すことが評価に」薬価改定踏まえ
公開日時 2024/04/23 04:51
厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の水谷忠由課長は4月22日、薬価制度改革について、「製薬企業のビヘイビアが変わってきていることを示すことがイノベーションの評価を引き続き継続していく議論の素地になる」と述べ、製薬企業に行動変容を訴えた。24年度薬価制度改革では新薬創出等加算の見直しなど、イノベーションへの評価が拡充されたが、ドラッグ・ラグ/ロス解消に向けた医薬品開発の影響を「分析・検証」することが条件に付いた。水谷課長は世界同時開発や、ドラッグ・ラグ/ロスが指摘された品目の解消などをあげ、企業に対して行動変容を求めた。同日開かれたヘルスケア関連産業シンポジウムで自身の考えを示した。
24年度薬価制度改革は、「イノベーションの評価、ドラッグ・ラグ/ロス解消に向けた対応」を柱の一つとされ、新薬創出等加算の見直しや迅速導入加算の新設がなされた。議論がなされた中医協では、診療・支払各側から最後まで疑義が出され、制度改革による「検証」の条件付きで了承された経緯がある。24年度診療報酬改定の答申書附帯意見では、「今回の薬価制度改革の骨子に基づき、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消等の医薬品開発への影響」について、「製薬業界の協力を得つつ分析・検証等を行うともに、こうした課題に対する製薬業界としての対応を踏まえながら、薬価における評価の在り方について引き続き検討すること」が盛り込まれている。
水谷課長は、24年度薬価制度改革について、「我々として一つのメッセージ、方向性を打ち出したつもりだ」と説明。「医薬品の開発が1年、2年でできるわけではないことは皆がわかっていることだと思う」と断ったうえで、「製薬企業のビヘイビアが変わってきていることをお示しすることが、さらにイノベーションの評価を継続していこう、あるいは拡大していこうという議論の素地になると思う。逆に、そうしたことが見えないと、やっても変わらないんだったら(評価しても意味がない)・・・そうした議論になってもおかしくない」と釘をさし、「製薬企業の皆様ぜひご協力をお願いしたい」と呼びかけた。
具体的には、「これから新しく世界で上市される医薬品は、日本で同時に上市することをぜひお願いしたい」と言及。日本製薬工業協会(製薬協)が中医協でドラッグ・ロスとして示した86品目のうち、体外診断薬を除いた75品目について、「今回のような措置をしたら、75品目についてもドラッグ・ロスが解消される、そうした方向に向けて動いていることをお見せいただけることが、さらにイノベーションを評価する方向につながっていくのではないか」と述べた。
◎創薬力構想会議 FIH施設など「治験をどう整備していけるのかも含めて議論いただいている」
創薬力強化に向けて、内閣官房の「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」で議論が進められていることも紹介。議論の内容として、「ドラッグ・ラグ/ロスの解消も念頭に置きながら、創薬の特にアーリーの段階において適切なインキュベーションのようなものをどのように推進していくことができるか。また、ファースト・イン・ヒューマン(FIH)試験の実施施設などを含めて、治験をどう整備していけるのかも含めて議論いただいている」と述べた。