厚労省保険局医療課は4月19日、10月実施の長期収載品の選定療養の対象医薬品リストを公表した。リストアップされた医薬品は総数1095品目（445成分）。企業別にみると、田辺三菱製薬が21成分49品目で最も多く、次いで住友ファーマの18成分46品目となった。選定療養の対象となった長期収載品のうち、23年の院外調剤金額100億円以上の大型製品は、武田薬品のアジルバ、マルホのヒルドイド、久光製薬のモーラス、大塚製薬のサムスカOD錠などが並ぶ。長期収載品の薬価と後発品最高価格の差額が最も大きかった内用薬は、小野薬品のイメンドカプセルセットで3356.6円、注射薬は日本イーライリリーのアリムタ注射用500mgで５万2205円、外用薬はクリニジェンのスプレキュア点鼻液0.15%の2256.5円となった。

保険局医療課は同日、長期収載品の選定療養の対象医薬品について都道府県に事務連絡した。対象医薬品は、いわゆる準先発品を含む後発品のある先発品で、後発医薬品の初収載から５年を経過した品目（後発品置換え率１％未満は除く）または、初収載から5年を経過しない品目のうち、後発品置換え率が 50％以上のもの。さらに、長期収載品の薬価が、後発品の最高価格（薬価）を超えていることを条件とした。なお、バイオ医薬品は除外した。

◎選定療養の対象企業　101社　20品目以上の企業は20社

厚労省が公開した対象医薬品リストをミクス編集部が集計したところ、1品目でも選定療養の対象医薬品を有する企業は101社あった。最も品目数が多かったのは田辺三菱製薬の49品目（21成分）。次いで住友ファーマの46品目（18成分）、ヴィアトリス製薬の44品目（18成分）、武田テバ薬品の38品目（14成分）、エーザイの36品目（18成分）、ノバルティス ファーマの35品目（17成分）、GSKの32品目（15成分）、第一三共の31品目（11成分）となった。なお、1社で20品目以上が選定療養の対象となる企業は20社に及ぶ。

◎市場インパクト・売上100億円以上対象製品　アジルバ、ヒルドイド、モーラスなど

選定療養の対象となった長期収載品のうち、市場インパクトの大きい製品（23年の院外調剤金額100億円以上製品：インテージリアルワールドの統合医療データベース「Cross Fact」を基にミクスが対象製品を抜粋）は、武田薬品のアジルバ、マルホのヒルドイド、大塚製薬のサムスカ、日本ベーリンガーのアレジオン錠と参天製薬のアレジオン点眼液、久光製薬のモーラス、アステラス製薬のプログラフ、杏林製薬のペンタサ、ユーシービージャパンのイーケプラ、アストラゼネカのネキシウム、第一三共のロキソニンとなった。

一方、注射剤（外来・院内）の21年度売上100億円以上製品（厚労省・第8回NDBオープンデータ（令和3年度レセプト情報）の注射剤（外来・院内）から、薬価ベースの売上100億円以上の製品を抜粋）をみると、生化学工業のアルツディスポ関節注25mg（21年度売上高210億円）、日本イーライリリーのアリムタ注射用500mg（同135億円）、ヤンセンファーマのベルケイド注射用3mg（同131億円）がリストアップされた。

◎長期収載品と後発品の価格差　アリムタ注射用500mgは５万2205円

10月実施の選定療養では、長期収載品と後発品の価格差の「4分の１」を患者負担として求めることになる。対象医薬品リストから長期収載品と後発品最高価格との差額をみたところ、内用薬では小野薬品のイメンドカプセルセットで3356.6円、ヤンセンファーマのトラクリア錠62.5mgで2802.6円、ファイザーのザイボックス錠600mgで2184.3円となった。2000円以上の差額はこの3品目だが、差額が1000円超のものまでみると9品目ある。

注射薬でみると、日本イーライリリーのアリムタ注射用500mgで５万2205円、ヤンセンファーマのベルケイド注射用3mgで４万7987円、ヤクルト本社のエルプラット点滴静注液200mgで2万575円。なお、差額1万円超の品目に日本イーライリリーのアリムタ注射用100mgがあり、差額は1万3845円だった。

外用剤は、クリニジェンのスプレキュア点鼻液0.15%が2256.5円。1000円超の製品は久光製薬のフェントステープ8mgの1659.1円など6品目あった。