医師の働き方改革後のWeb講演会 18時以降視聴しやすく 13時台はより難しく MCI DIGITAL調べ
公開日時 2024/04/05 04:52
医師の働き方改革後、医師が企業主催のWeb講演会(LIVE配信)を視聴しやすい時間帯は従来に増して18時から21時になる――。このような調査結果を製薬デジタルマーケティング支援会社のMCI DIGITALがまとめた。医師がWeb講演会を視聴するベストな時間帯は、いまも「18時以降」に集中しているが、働き方改革の実施前後で予測すると、4月以降は18時台の視聴希望が8.0ポイント、19時台も2.1ポイント伸びる可能性が示唆された。一方で、日中13時台の視聴は2.7ポイント減少する結果も得た。医師の働き方改革がスタートする中で、企業主催のWeb講演会など、医師の医薬品情報の収集時間に変化が見られそうだ。
文末の「関連ファイル」に、医師の働き方改革により、Web講演会(LIVE配信)を視聴しやすい時間帯に関する資料を掲載しました(会員のみダウンロードできます。
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◎視聴しやすい時間帯 最多は19時台の59.0%
同社は、医師の働き方改革の施行前後でWeb講演会(LIVE配信)を視聴しやすい時間帯がどのように変化するかを、医師約5000人を対象に2023年10月に調査した。
医師の働き方改革が施行される24年4月を待たず、既に勤務先で労働時間短縮計画が「策定され推進中」の医師(以下、推進中施設医師)1247人と、推進中施設以外の医師3822人のそれぞれについて、平日の視聴時間帯を調べ、その差分を算出した。医師には、Web講演会を視聴しやすい時間帯を全てチェックしてもらった。
その結果、推進中施設医師における視聴時間帯は、多い時間帯から、19時台59.0%(推進中施設以外の医師:57.0%、差し引き2.1ポイント増)、18時台32.7%(24.7%、8.0ポイント増)、20時台28.7%(27.2%、1.5ポイント増)、12時台12.9%(13.1%、0.2ポイント減)――となった。本調査における推進中施設医師の行動は、4月以降の医師の行動とも言え、Web講演会を視聴しやすい時間帯がこれまで以上に18時以降になる可能性が示された。
なお、推進中施設医師と推進中施設以外の医師で、視聴時間帯の回答割合の差が大きかった時間帯は、18時台の8.0ポイント増に次いで、17時台の3.6ポイント増(推進中施設医師:8.8%、推進中施設以外の医師:5.2%)、13時台の2.7ポイント減(同4.4%、7.1%)――だった。
◎オンデマンド配信に好意的な受け止め
全医師を対象に、視聴したいと思ったWeb講演会が都合のため視聴できなかった頻度や、その代替策に関する調査結果も見てみる。
視聴できなかった頻度は、「3回に1回」が30.7%と最も多く、「2回に1回」(26.6%)、「5回に1回」(23.3%)――と続いた。約8割の医師が、LIVE配信終了後又は一定期間経過後のオンデマンド配信や、LIVE配信終了直後の期間限定配信を求めていることも確認できた。
オンデマンド配信はLIVE配信後に製薬企業によって映像を編集した動画のこと。製薬企業側には、編集・審査によって教科書的な内容となったり、講演内容に制約が加わっていると感じる医師が少なくないのではないか、と懸念する向きもある。
そこでオンデマンド配信の印象も調査したところ、最も多い回答が「LIVE配信と比較して特に印象は変わらない」(48.4%)、次いで「内容がコンパクトにまとまっているように感じる」(42.6%)となり、好意的な受け止めが多数を占めた。「講演内容に制約が加わっているように感じる」との医師は15.4%にとどまった。
MCI DIGITALは「(制約が加わっているとの回答割合は)製薬企業が懸念するほどの数字ではないと分析できる。オンデマンド配信も前向きに検討してほしいという結果ではないか」としている。
本調査は、製薬企業のオウンドサイト(自社サイト)やその他医療関係企業サイトを閲覧している医師5069人を対象に実施したもの。調査時期は23年10月13日~20日。分析結果は、MCI DIGITALの「医師版マルチメディア白書2023年冬号」に掲載されている。