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長生堂製薬・小城社長 社員400人の法令遵守で決意 徳島県薬事審で業務改善計画を審議 異論なく答申へ

公開日時 2021/10/28 04:52
長生堂製薬が業務改善計画を提出したことを受け、徳島県は10月27日、薬事審議会を開き、審議した。長生堂製薬の小城和紀社長は、組織面の体制強化に加え、企業風土の醸成に尽力する姿勢を示した。出席委員から企業風土の醸成の難しさを指摘された小城社長は、「私が社員400人に語りかける形で、コンプライアンス・法令遵守を従業員に浸透させて参る」と改革に取り組む決意を滲ませた。このほか、社内だけでなく、社外やグループ外も内部通報制度を整備する考えも示した。出席委員からは、実効性を高めることや早期の体制整備を求める声があがったが、大きな異論は出なかった。審議会は、近く徳島県知事に答申する方針。

◎業務改善計画を説明「すべての品目について年1回以上の点検を行う」 小城社長


同社の業務改善計画では、組織体制の見直しを図るほか、信頼回復に向けて全社をあげて企業風土を醸成することを柱に据えられている。小城社長は、「一人ひとりの仕事が患者さまや医療関係者につながっていること、それをつなげているのが製品品質への信頼や安心であることを全従業員に理解させる」と述べ、品質や規範を重視する風土を醸成する考えを示した。「すべての品目について年1回以上の点検を行うことを約束する」とも明言。経営陣が点検結果をレビューし、必要な是正をするために経営資源を配分するなど、経営陣自らが率先して品質を優先する姿勢もみせた。研鑽を奨励する風土や、風通しの良い風土の醸成も目指す。

◎「一番難しいのが企業風土の醸成。二番目は内部通報制度の整備」 藤原委員

徳島県製薬協会の藤原克之会長代行(大塚製薬工場取締役)は、長生堂製薬が協会の副会長を務めていることに触れ、「協会としても真摯に受け止め、活動の在り方を原点に戻って考えないといけない」と述べた。そのうえで、業務改善に際し、「一番難しいのが、企業風土の醸成だ。二番目は内部通報制度の整備だ。非常に時間と根気と手間のかかる作業だと思う。コンプライアンスの意識の醸成、向上といっても一言で言えるような簡単なものではない」と指摘。大塚製薬工場は創業100年を迎えるが、「コンプライアンスの醸成は非常に難しい課題だ。内部通報制度を含め、形だけでなく心を込めて誠心誠意努力していただきたい」と述べた。

これに対し、小城社長は、「私が社員400人に語りかける形で、コンプライアンス・法令遵守を従業員に浸透させて参る」と強調した。内部通報制度については、現行制度の記名式を改める考えを表明。顧問弁護士の活用なども視野に、「他の企業でどのような形でやられているのが一番有効なのかを参考にさせていただきながら、有効性のあるきちんと機能する内部通報制度を確立していきたい」と述べた。藤原氏は、「内部通報制度は、仕組みだけ作って終わりにせず、実態のあるものにしていただければ」と念押しした。

◎「技術統括部」、「品質管理統括部門」を新設

組織体制の強化としては、日本ジェネリックの100%出資子会社とし、同社との一体化を進め、直接的な指導・支援を受けられる体制を整備する。小城社長をはじめとした経営陣も刷新した。組織体制を見直し、実効性も高める。新設される部署の一つが、「技術統括部」だ。違反事例では、「商用生産について問題点を解決できていなかった」との見方を示した。そのうえで、今後違反があった品目について、一部変更承認申請(一変申請)も必要となるなかで、「技術統括部を新設し、承認書通り商用生産ができるよう、サポートする」と説明した。

「品質管理統括部門」も新設。生産部門から独立してQA・QCがチェックできる体制を整備する。「製造部門と相互チェックをする形で品質問題を起こさないようにしていく」狙いがある。このほか、総括製造販売責任者(総責)へ円滑に情報を伝達し、業務を遂行できるよう、信頼性推進部を設置する。このほか、研究所については、長生堂の研究所は廃止し、日本ジェネリックつくば研究所に一本化することも説明した。

◎佐々木・徳島県薬務課長 「不備がない会社」担保で安心感 後発品使用促進へ


土屋浩一郎委員(徳島大学薬学部長)は、「徳島県は、ジェネリックの使用率が日本で最下位だ。医師会、歯科医師会、病院薬剤師会、薬剤師会と協力して方策をとってきた。今回の件で、各団体のマインドが冷え込んでしまったのではないか。ユーザーである患者のマインドも冷え込んでしまったのではないかと危惧している。どのような信頼回復の方策を考えているのか」と問いかけた。

これに対し、徳島県保健福祉部薬務課の佐々木啓司課長は、後発品使用率の伸び幅が全国一位となるなかで、「引き続き、取り組みを行っていきたいという最中のことで、正直非常に残念でならない。一方で医薬品の製造販売業者、製造業者の監視を行う立場でもある」と表明。長生堂製薬についても、「県では徹底的な調査を行い、すべての不備を見つけることが信頼回復の第一歩になるのではないかと考えた。全品目の全工程の徹底的な調査を行った」と説明した。

今回の業務改善計画を受けるにあたり、薬事関係者や学識経験者、消費者団体などが集う薬事審議会で意見を求めた。「計画の妥当性は、行政だけで判断するのではなく、薬事審議会の各分野の先生方の意見をいただくことで、計画内容に問題がないことを県民や国民にわかっていただきたい」との想いを語った。今後も立入検査などを通じ、業務改善計画の進捗状況や運用などを継続的に確認する姿勢も示し、「違反があったことは残念だが、改善を行い、今後は今回のような不備がない会社であるということを行政としても後押ししていきたい」と強調。安心を担保することが、後発品使用促進につながるとの考えを示した。 
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