長生堂製薬 川内工場で製造管理上の不備が新たに発覚 徳島県 製販業者と「自主回収の要否検討」指導
公開日時 2024/05/24 16:55
徳島県は5月24日、長生堂製薬の川内工場で製造管理上の不備が新たに発覚し、製造出荷および製造停止の報告を同社から受けたと発表した。県は、「直ちに品質への影響の恐れのあるものについては製造販売業者と協議し、自主回収の要否を検討する」よう指導した。長生堂製薬は21年10月に業務停止命令を含む行政処分を徳島県から受け、その後、業務改善計画に従って信頼回復の取り組みを進めていた。今回は、その最中に社内調査で不適切事案が判明したというもので、同社は、「業務改善の取り組みが十分でなかったことを反省している。改善計画施策の取り組みを強化したい」(人事総務部)とコメントした。なお、同事案をめぐっては、同社への製造委託先企業で自主回収の動きもありそうだ。
◎川内工場で製造管理上の不備がある旨の従業員からの報告を受け、社内調査で発覚
今回の不適切事案は、川内工場の製造管理上の不備がある旨の報告を従業員から受けたことに端を発する。その後、社内調査を実施した結果、製造工程において承認書に記載のない打錠用粉末の追加乾燥を行った事象が発覚。さらに逸脱処理を適切に実施していない事象があることも判明した。同社は徳島県に報告するとともに、川内工場における製品出荷および製造停止の措置を講じ、同工場で製造受託している製造販売業者に状況を報告した。なお、本社工場、本社第二工場で同様の不備は確認されていない。
◎引き続き製造販売業者と情報共有を行い、「自主回収の要否を含めた今後の対応を検討」
長生堂製薬は、「引き続き製造販売業者と情報共有を行い、自主回収の要否を含めた今後の対応を検討する」とした。同社に製造委託している沢井製薬は前日5月23日に、セフジニル錠100mg「サワイ」自主回収を決定し、公表している。今後、他の製造販売業者も今回の事案についての調査を行うとみられ、自主回収の可能性も指摘されている。
◎小城社長名でお詫び「事態重く受け止め、業務改善施策の強化」に取り組む
長生堂製薬は、2021年10月に徳島県から薬機法違反による業務停止命令および業務改善命令の行政処分を受けており、2021年11月から業務改善計画に基づく業務改善策を社内で行っていた。同社は5月24日、小城和紀代表取締役社長名で、「患者様とそのご家族及び医療関係者の方々をはじめ、関係者の皆様に多大なるご心配とご迷惑をお掛けし、心より深くお詫び申し上げます。当社といたしましては、このような事態を重く受け止め、業務改善施策の強化に向けた検討を速やかに行い、法令遵守の徹底及び確かな品質の製品の供給のため誠心誠意努めてまいります」とのコメントを公表した。
なお、同社は、「川内工場の製品については品質試験に適合しており、現時点で、このたびの不備により健康被害が生じるリスクは極めて低いと判断している」と説明。これまで、当該不備に起因すると考えられる健康被害の報告は受けていないとしている。