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22年度診療報酬改定 財務は実質マイナス姿勢崩さず 看護職員処遇改善と不妊治療で0.5%相当分の財源確保

公開日時 2021/12/09 04:53
2022年度診療報酬改定の「改定率」をめぐる調整が大詰めを迎えている。すでに政府内では、看護職員の処遇改善と不妊治療の保険適用で合計0.5%相当分の財源確保に目途をつけた。このほか医師の働き方改革で財源確保を求める声もあり、必要な財源は膨らんでいる。一方で財務省は、看護職員の処遇改善や不妊治療の保険適用も含めて前回20年度診療報酬改定の本体0.55%以下を求めており、実質的なマイナス改定を貫く姿勢を崩していない。日本医師会など医療関係団体は、“絶対プラス改定”を掲げており、実質的なプラス改定をかけてギリギリの調整が進んでいる。

◎中医協総会 支払側・松本委員が異例の追加発言「国民目線の改定」求める

「現下の厳しい国民生活を考えれば、今回改定は保険料負担や自己負担の観点から、国民の負担軽減につなげるべきと強く考えている。ただ、今回はすでに政府において方向づけられている看護職員の処遇改善など医療従事者の働き方改革、不妊治療、オンライン診療の恒久化など、財源を要する内容も多いことから、改定はあくまで政府の決定する改定率のなかで、メリハリをつけた国民目線での改定としていただきたい」-。12月8日の中医協総会で支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)が追加発言を求め、異例ともいえる“健保連”としての意見表明に打って出た。

前回20年度改定は医師の働き方改革で0.08%上積みし、診療報酬本体改定率0.55%で決着した。22年度改定では、看護師の処遇改善や不妊治療の保険適用で、確保すべき財源が膨らむ。コロナ禍で経済対策が優先されるなかで、政府は過去最大となる35.9兆円規模の21年度補正予算を国会に提出している。岸田内閣は政権発足時から一貫して「成長と分配の好循環」を掲げ、可処分所得増大を掲げる政策を推し進めている。この一方で財政当局は、医療費適正化への圧力を普段にも増して強めており、先の財政制度等審議会の建議にその方向を色濃く反映した。

◎中医協総会 診療・支払各側から次期改定で意見表明

この日の中医協総会は、診療・支払各側から次期診療報酬改定についての意見表明が行われた。支払側はこの日、“マイナス改定”にあえて言及せず、「診療報酬を引き上げる環境になく、国民の負担軽減につなげるべき」と主張した。また、「配分の見直しに主眼を置いたメリハリのある改定とする必要がある。薬価等については、イノベーションの推進にも配慮しながら、市場実勢価格の低下に伴う公定価格の引き下げ分を、長期的に上昇し続ける負担の抑制のために還元されなければ、国民の理解は得られない」との見解を示した。

◎診療側・城守委員 地域医療と医療従事者を支える財源確保を「プラス改定しかあり得ない」

一方、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「国民の安全を守るためには、地域の医療と医療従事者を支える適切な財源が必要であり、令和4年度の診療報酬改定ではプラス改定しかあり得ない」と強調した。コロナ禍で、「医療機関等は感染リスクや風評被害に耐えながら、新型コロナウイルス感染症患者への入院医療、発熱患者に対する外来医療やワクチン接種など必死で新型コロナウイルス感染症に立ち向かうとともに、コロナ以外の地域医療を全力で守っている。診療報酬は、それに対して十分な手当で応えなければならない」と述べた。またコロナ対応で、「改めて医療現場における人材の重要性が認識された。医療従事者の働き方改革と処遇改善を推進し、安定的な医療提供体制を維持することが必要であるが、医療機関等は、むしろ給与費を抑制せざるを得ない実態だ」として、プラス改定への理解を求めた。

医師の働き方改革についても言及した。20年度改定では診療報酬と地域医療介護総合確保基金との組み合わせで拡充が図られたが、「医療現場ではコロナへの対応を最優先としたため、働き方改革に着手できかねる現状がある。このため、改めて診療報酬による適切な対応をお願いしたい」と述べた。医療ICTなどについては、「ICT活用等、医療の高度化に係るインフラの整備等は政府の成長戦略として別建ての財源を充て、イノベーションを促進すべき」と主張した。このほか、「薬価改定財源は診療報酬本体に充当すべき。診療報酬と薬価は不可分一体の関係にあり、財源が切り離されるようなことがあってはならない」と強調した。

◎診療側 医療関連職種に対し「幅広く恒久的な賃上げが必要」

この日の中医協は22年度診療報酬改定の財源確保で焦点となっている、看護師の処遇改善が議題にあがった。看護師の処遇改善をめぐっては、22年の年2~9月分については収入を月1%(4000円)上げる方針。21年度補正予算を活用する。10月以降は段階的に約3%に引き上げる考えで、診療報酬で補う方向で議論が進んでいる。

診療側の城守委員は、「地域医療の崩壊を防ぐうえでも重要な取り組みと理解しているが、医療関係職種に対して幅広く恒久的な賃上げが必要だ。それに見合う診療報酬上の評価ができるよう、加算ではなく、基本診療料の引き上げが必要だ」と主張した。診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)も、「看護職員の確保は重要な問題であることは認識している。ただ、医療現場は実際にあらゆる職種によるチームで成り立っている。地域医療を守っていくためには医療職種や医療スタッフ、従事するすべての医療関係職種に対し、幅広く引き上げることが必要であり、そのためにはそれに見合う診療報酬が不可欠だ」との見解を示した。「診療報酬という性格を考えると特定の職種に特化して処遇改善することはなじまず、別の方法で対応していくべきものであるように思う。慎重な対応が必要ではないか」とも述べた。

◎支払側・松本委員 基本診療料の引き上げ「反対する」

一方で、支払側の松本委員は、基本診療料の引き上げについては「反対する」と強調。「対象者に確実に増加分が届く観点からすれば、介護報酬を参考に対処することが考えられる。医療者負担や保険者負担に影響することは間違いないので、全体的にメリハリのなかで、どのように負担増を吸収していくかという視点は不可欠だ」と突き放した。安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「仮に診療報酬制度で対応することとなれば改めての議論が必要だが、どのような政策手法であっても対象となる個人の給与が確実に引き上げられるような仕組みが必要だと考える。その結果を検証できる仕組みも併せて検証すべき」と述べた。



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