エーザイ 米子会社開発の抗がん剤候補のグローバル開発・販売の独占権を供与 英・ロイバントに
公開日時 2022/01/07 04:50
エーザイは1月6日、米子会社が開発中の抗がん剤候補「H3B-8800」について、英・製薬ベンチャーのロイバント・サイエンシズの子会社と、グローバルにおける研究、開発、製造、販売に関する独占的権利を供与するライセンス契約を締結したと発表した。H3B-8800については、現在SF3B1 遺伝子変異を有する骨髄異形成症候群患者を対象とした第1相臨床試験が実施されている。契約に伴い、同社は契約一時金を受領するとともに、開発、薬事の進捗に応じたマイルストーンおよび上市後には売上収益に応じた一定のロイヤリティを受領する予定としている。
H3B-8800(Roivant の開発品コード:RVT-2001)は、米国研究子会社のH3 Biomedicine Inc.が創製した経口投与可能な低分子の Splicing Factor 3B subunit 1 (SF3B1)モジュレーター。スプライジングとは、遺伝情報からタンパク質を合成する過程において、タンパク質合成に不要なmRNAの塩基配列であるイントロンを取り除くことをいう。一部の血液がんや固形がんでは、スプライジング因子をコードする遺伝子に変異が認められ、SF3B1は、スプライジング因子のなかでも特に頻度の高い遺伝子変異とされている。H3B-8800は、SF3B1 に結合し、がんにおける異常な mRNA スプライシングを調節することで抗腫瘍効果を発揮することが非臨床の研究モデルで示されているとしている。