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22年度診療報酬改定を諮問 急性期入院は重症度、医療・看護必要度の評価見直し リフィル処方箋も明記

公開日時 2022/01/17 04:52
後藤茂之厚労相は1月14日、中医協の小塩隆士会長に、2022年度診療報酬改定を諮問した。同日の中医協では、「2022年度診療報酬改定にかかわるこれまでの議論の整理」を取りまとめた。新型コロナの感染拡大後、初めての診療報酬改定となる22年度改定では、「新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」を目指す。今後の議論で最大の焦点となることが想定される、急性期入院医療については、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度についての評価項目の見直しなどが盛り込まれた。オミクロン株の感染が拡大するなかで、診療側は厳格化に向けた見直しに強く反発しており、今後の議論が注目される。このほか、昨年末の大臣折衝で盛り込まれた、「リフィル処方箋」についても盛り込まれた。

◎最大の焦点は急性気入院医療の見直し

今改定でも最大の焦点となるのが、急性期入院医療の見直しだ。手術や救急医療などの高度かつ専門的な医療についての実績を一定程度有する医療機関の体制について新たな評価を行う方針が明記された。急性期病院でもアウトカム評価を導入し、現行よりも手厚い評価を行う方針だ。一方で、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について、「必要度の判定にかかわる評価項目を見直す」ことと、入院料についての評価を見直すことが盛り込まれた。12日に開かれた中医協に厚労省は、重症度、医療・看護必要度の見直しを踏まえたシミュレーションを示している。A項目(モニタリングおよび処置等)は、「点滴ライン同時3本以上の管理(→点滴薬剤3種に変更)」、「心電図モニターの管理(→項目を削除)」、「輸血や血液製剤の管理(点数を2点に変更)」、B項目(患者の状況等)は、「衣服の着脱(→項目を削除)」、C項目(手術等の医学的状況)は「骨の手術(11日間)(→10日間に変更)を組み合わせて、4案をシミュレーション。すべての項目を変更した案では、急性期一般入院料1全体では18.8%(必要度Ⅰでは31.9%、必要度Ⅱでは8.9%)、200床以上の病院では14.6%、200床未満では27.8%が見直し後の基準を満たさないことが示された。支払側はすべての項目を見直すことを軸落ちした見直しを提案する一方で、診療側は、特に中小病院の約3割が見直し後の基準を満たさないことに問題意識を露わにした。特に、心電図モニターの管理削除が、中小病院に影響を与えていることが示唆されている。診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「急性期入院医療の評価体系を厳格化する議論は、診療側として到底賛成できない」と強調。今後、議論が進むことが想定される。

一方で、外来については、紹介状なしで受診した患者などから定額負担を徴収する責務がある医療機関の対象範囲を見直し、紹介受診重点医療機関では入院医療について新たな評価を行う。外来医療を担う医師と在宅医療を担う医師が患者宅で、共同して必要な指導を行った場合について新たな評価を設け、外来患者の在宅への移行推進も後押しする。

◎リフィル処方箋による処方 処方箋料の要件見直しも


昨年末の厚労相と財務省の大臣折衝で盛り込まれたリフィル処方箋については、「症状が安定している患者について、医師の処方により、医師および薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方箋の仕組みを設ける」と明記。リフィル処方箋による処方を行った場合について、処方箋料の要件を見直すことも盛り込んだ。

◎調剤報酬は調剤料見直しを含めて抜本的な見直しへ


調剤報酬では、調剤料の見直しを含めた抜本的な見直しがされる方向性が示されている。「これまで調剤料として評価されていた薬剤調剤や取り揃え監査業務の評価を新設する」、「これまで調剤料として評価されていた処方内容の薬学的分析、調剤設計等と、これまで薬剤服用歴管理指導料として評価されていた薬歴の管理等にかかわる業務の評価を新設する」ことを明記。一方で、薬剤服用歴管理指導料についても、「服薬指導等にかかわる業務の評価を新設する」、「加算について評価のあり方を見直す」とした。このほか、「入院予定の患者に対して医療機関からの求めに応じて、薬局において持参薬の整理を行うとともに、当該患者の服用薬等に関する情報を一元的に把握し、その結果を医療機関に文書により提供した場合について、新たな評価を行う」ことも盛り込んだ。地域包括ケア時代の新たな薬剤師の姿へと後押しする改定となりそうだ。

◎後発医薬品調剤体制加算の要件や評価見直し 後発医薬品使用体制加算の要件も

このほか、後発品については、後発医薬品調剤体制加算の要件や評価の見直し、後発医薬品の調剤割合が低い薬局に対する減算の厳格化が盛り込まれた。医療機関側の点数である後発医薬品使用体制加算の要件を見直す。バイオシミラーの患者への適切な情報提供推進の観点から、外来化学療法を実施している患者に対してバイオシミラーを導入する場合の新たな評価を行うことも明記された。

一方で、支払側が求めていた、診療報酬明細書の完全無料発行やフォーミュラリなどの記載は、見送られた。

議論の整理は、22年度診療報酬改定の基本方針に示された、①新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築、②安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進、③患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現、④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上-が柱。1月21日までパブリックコメントを求め、21日の公聴会を経て、2月上・中旬の答申を目指す。


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