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BMS・後藤血液事業部門長 「アベクマ点滴静注」の製造販売承認取得でバイオファーマNo.1確立へ意欲

公開日時 2022/01/21 04:51
ブリストル・マイヤーズ スクイブは1月20日、CAR T細胞療法「アベクマ点滴静注」の製造販売承認を取得したと発表した。「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を対象としたCAR T細胞療法の承認取得は国内初。同社としてCAR T細胞療法の承認取得は21年3月の「ブレヤンジ静注」に次いで2品目となる。同社執行役員の後藤太郎血液事業部門長は本誌取材に応え、「業界のゲームチェンジャーとして、この重要なマイルストーンを達成できたことを誇りに思う」と強調。「今後は薬価収載に伴う発売に向けた活動に加えて、治療施設の認証やサプライチェーンの効率化など安全かつ迅速な体制づくりに全力で取り組む」と語った。

多発性骨髄腫はいまだ治癒が難しいアンメットニーズの高い疾患だ。特にアベクマ点滴静注の対象となる「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の治療には、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体製剤などが使用されている。ただ、治療が奏効しても次第に効果が減弱し、再発する可能性が高い疾患でもあり、新たな治療選択肢が求められていた。

アベクマ(CAR T細胞)は、体内でがん細胞の表面にあるBCMA(B細胞成熟抗原)に結合してがん細胞を攻撃し、取り除くことができる。さらに、増殖を繰り返したCAR T細胞ががん細胞に結合して攻撃を続けるという特徴を持つ。有効性に関しては、日本人を含む国際共同第2相試験(外国人集団128例、日本人集団9例)で、全奏効割合は外国人集団で73.4%、日本人集団で88.9%だった。海外第1相試験(全評価集団62例)の全奏効割合は74.2%だった。

◎患者の血液からT細胞を含む白血球を採取し、米国のアベクマ製造施設に送付


適応症は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」で、①BCMA 抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない、②免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38 モノクローナル抗体製剤を含む3剤以上の前治療歴を有し、かつ、直近の前治療に対して病勢進行が認められた又は治療後に再発した―の条件を満たす場合に限る。使用に際しては、患者の血液からT細胞を含む白血球を採取し、米国のアベクマの製造施設に送付。その後、患者はアベクマの投与準備として投与5日前からリンパ球除去化学療法を3日間実施。3日後にアベクマを単回投与し、経過観察を行う。この間の行程は約1か月程度という。同社としては、同剤を使用できる医療施設の認定を行うほか、サプライチェーンの効率化などの体制づくりにも注力する方針だ。

◎後藤血液事業部門長「細胞療法のリーダーとしての地位を固めたい」

同社執行役員の後藤太郎血液事業部門長は本誌取材に対し、「BMSは長期的な視野に立った戦略のもと、先進のR&Dの取り組みによって、競合他社に一歩先んじて細胞療法のリーダーとしての地位を固めたい」と強調した。同社の血液がん事業は、レブラミド、スプリセル、ポマリスト、エンプリシティ、イストダックスの5製品で売上高1000億円超に成長してきた。後藤血液事業部門長は、「CAR T細胞療法を含む血液がんを重要領域の1つと定め投資を継続することになる」と強調した。

後藤血液事業部門長はまた、「今後もCAR T細胞療法を含めて適応ラインや対象疾患の拡大などを積極的に進める」と述べ、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対してCAR T細胞療法を含めた数多くの治療選択肢を提供することで、「バイオファーマとして血液がんトップの地位をさらに確実なものにしたい」と意欲を示した。
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