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22年度診療報酬改定・答申受け各側会見 リフィル処方箋導入で日薬・山本会長「特段変わることはない」

公開日時 2022/02/10 04:50
22年度診療報酬改定ではリフィル処方箋が導入されたが、日本薬剤師会の山本信夫会長はすでに医師との連携が強化され、薬剤師の職能は発揮されてきているとの見方を示し、「特段変わることはない」との見解を示した。22年度診療報酬改定の答申を受け、2月10日に開かれた三師会の会見で見解を示した。山本会長は、「これまでも薬剤師の職能が発揮されてきたからこそ、医師にも信頼され、地域の方々からの信頼を受け、いまの状態がある。これをさらに進めていく」と述べた。一方で、同日開かれた支払側の会見では、間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は現状の薬剤師の対応が十分であることに疑問を投げかけたうえで、「(薬剤師は)対物から対人へ”ということでいうのであれば、そのあたりをもっと手厚く対応していただくということに期待したい」と話した。

リフィル処方箋については、昨年末の後藤厚労相と鈴木財務相の大臣折衝で、22年度診療報酬改定に導入されることが決定された。「症状が安定している患者について、医師の処方により、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方箋の仕組み」として導入される。

医師が、リフィルによる処方が可能と判断した場合は、処方箋の「リフィル可」欄にレ点を記入。リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回までとする。長期処方については処方箋料で減算規定が設けられていたが、処方箋の1回の使用による投与期間が29日以内の投薬を行った場合は、処方箋料における長期投薬に係る減算規定を適用しないこととするとして、医療機関側のインセンティブも盛り込んだ。

◎山本会長「どんな形の処方箋かによって職能が変わることはない」

山本会長は、「そもそも処方箋を調剤することは薬剤師法に定められている。薬剤師の大きな役割。どんな形の処方箋かによって職能が変わることはない。これまで同様に、きちんとした対応していくことに変わらない」との見解を表明。「これまでも薬剤師の職能が発揮されてきたからこそ、医師にも信頼され、地域の方々からの信頼を受けいまの状態がある。これをさらに進めていく」と述べた。

医師と薬剤師の連携も求められているが、「地域医療の中でチームをくみ上げていくことが極めて重要と考えている。特段リフィルということで変わることはない。むしろ、患者を含めた医師との信頼関係がしっかり構築されていることで現在の医療が成り立っているし、院外処方せんの応需ができている」との見解を表明。「我々としては特段に大きな違いをもって対応することにはならない」と強調した。日本医師会の中川俊男会長も、「かかりつけ医とかかりつけ薬剤師との関係は今まで通り、患者にとってなにがベストか、連携しながらやっていく」と同様に答えた。

中医協の場では支払側の委員から薬剤師の職能について問われる場面もあったが(関連記事①、②)、現在も7億枚以上の処方箋を応需しているとして、「これは信頼感関係なくてはあり得ない。十分でないと言われるのは心外だ」と反発した。そのうえで、「患者志向になるために、さらに患者さんに見える、あるいは他の職種から薬剤師が何をやっているかが明確になるよう、今回の診療報酬では整理されている。ヒトとモノを整理しながら、より分かりやすく鮮明にした。十分に対応できると理解している。同時にそのような方向で仕事をするように指導していきたい」と述べた。

◎支払側・間宮委員「細かい対応を薬剤師には期待している」

同日開かれた会見で支払側の間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「何回かにわけて受け取っていくというのは、専門家と相対して相談できるという意味ではメリットがある」と述べた。自身の経験として、注射剤の皮膚症状に悩まされていた際に、医師への伝え方などきめ細かい対応をしてくれた薬剤師がいたことを紹介し、「医師と薬剤師は受け取り方が違う。細かい対応を薬剤師には期待している」と述べた。

そのうえで、「現状では本当の意味で十分な対応をしていただいているかというと、お薬手帳を持っていっても挟んで終わりだったり、“変わりないですね”、“いつもと同じですね”と何も見ないで渡されたりという現状がある。“対物から対人へ”ということでいうのであれば、そのあたりをもっと手厚く対応していただくということに期待したい」と話した。

◎支払側・松本委員「医師と薬剤師の心理的な距離感の違いもある」 健全な形で育成を

支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「外来における医療機関と薬局の機能分化と連携という観点から、リフィル処方箋にも期待している。新しい仕組みなので、あまり焦らずに健全な形で育てていければよい」との見解を示した。「医師と薬剤師の心理的な距離感の違いもある」と指摘。オンライン資格確認の導入を見据え、「対人業務への転換のなかで、患者さんをよく理解していただき、例えば多剤や重複投薬の観点、さらにはリフィルもあるので、少しでも患者負担を減らす形での調剤業務に期待する」と述べた。

◎日本医師会・中川会長 長期処方への問題意識を改めて表明

日本医師会の中川俊男会長は同日の会見で改めて、長期処方についての問題意識を改めて示した。そのうえで、「患者にとって適切な診療が行われることについて、十分配慮した運用が現場でなされることを期待している」と述べた。

「長期処方にはリスクがあるし、不適切な長期処方には是正が必要だ。そのために定期的に患者を診察し医学的管理を行うことがまさに安心安全で質の高い医療と考える。実際に日数制限がないといっても、医師は無制限に処方しないのが現実だ。しかしながら、リフィル処方箋が導入されることで、医師や患者の対応がこれまでと異なる可能性も考えられる。重ねて申し上げるが、新しい仕組みを導入する際は、患者の健康に大きくかかわるので、慎重にも慎重に、そして丁寧に対応することが望ましいと考える」と訴えた。



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