セルトリオン日本法人・キム社長 BS5剤導入で計11製品展開へ 国内生産拠点やMR含む人員拡充に意欲
公開日時 2024/05/13 04:52
セルトリオン・ヘルスケア・ジャパンのキム・ホウン代表取締役社長は5月9日、韓国・仁川市のセルトリオン本社で本誌インタビューに応じ、リツキサンのバイオシミラー(BS)など開発中の2剤に加え、自社で開発したアクテムラやプラリアなどバイオシミラー5剤を日本市場で展開したい考えを明らかにした。将来的にすでに上市された製品とあわせ、日本市場で合計11製品の製造販売承認の取得を目指す。あわせて、品質・安定供給面で日本の医療機関や医療者の信頼に対応するため、日本国内に生産拠点を整備するほか、MRを含む人員拡充にも強い意欲を表明した。キム社長は日本市場への期待について、「市場規模の大きさに加えて、医療システムの先進国であり、米国、欧州とともに重要な市場に位置付けている」と強調した。(韓国・仁川発 沼田佳之、梅澤平)
◎日本で4製品上市済み リツキサンBSとインフリキシマブ皮下注は開発中
韓国・仁川市に本社を構えるセルトリオンはモノクローナル抗体のバイオシミラーに強みを持つバイオ医薬品企業。日本ではレミケード(一般名:インフリキシマブ)、▽ハーセプチン(一般名:トラスツマブ)、▽アバスチン(一般名:ベバシズマブ)▽ヒュミラ(一般名:アダリムマブ)―のBS4剤を上市済み。さらにグローバルでは承認実績があるリツキサン(一般名:リツキシマブ)のバイオシミラーと、新薬扱いとなるインフリキシマブ皮下注製剤の2剤について開発を進めている。キム社長はインフリキシマブ皮下注製剤について、「日本で治験を行い、2~3年を目標にお届けしたい」との見通しを示した。
◎アクテムラ・ゾレア・アイリーア含むBS5剤 欧米先行で加速に期待
キム社長は今後の日本市場向け戦略として、自社で開発したアクテムラ、プラリア、ゾレア、ステラーラ、アイリーアのバイオシミラー5剤について製造販売承認の取得に取り組む考えを明言した。すでに米FDAや欧EMAに承認申請をしている製品もあり、「民族差がないことが立証され、日本人のデータが不要となれば、日本に早く届けることができるかもしれない」との期待感を示した。さらに、製品の承認取得が進むと、「生産の強化もいよいよ行っていく必要がある」と見通し、同社の品質と安定供給を実現するための国内生産設備の増強を視野に入れていることを明らかにした。
◎品質、安定供給を重視 政府や医療者が求める情報開示にも応じる姿勢鮮明に
セルトリオンは韓国・仁川の製造施設でグローバルの需要に応えている。最大1万5000リットルの培養タンク6ラインに加え、2023年に竣工した第3工場を含めて製造能力は計25万リットルを備える。日本ではラベリングやパッケージングなど最終工程のみを行っている。キム社長は「(製造販売承認の取得が進めば)日本で必要な規模や量も変わってくるため、ラベリングやパッケージングなど最終工程の前の段階も日本で行っていきたい」と強調した。特に品質面、安定供給面を重視する姿勢を示し、「我々の製品が品質を担保し、安定供給がしっかりできれば、バイオシミラーの導入によって医療費の削減に貢献できると考えている」と指摘。さらに、日本政府や医療機関、医療従事者が求める品質・安定供給面の情報についても積極的に応じる考えを強調した。
◎事業拡大に合わせ MRやメディカル、マーケティング「どんどん増やしていきたい」
キム社長はまた、MR、メディカル、マーケティングなどの人員面について、「製品ポートフォリオがスケジューリングできた際にはどんどん増やしていきたい」と述べた。その上で求める人物像として、「仕事に対するエキスパートとしての専門性に加えて、セルトリオンが早く成長した理由でもある“パッションがある方”だと嬉しい」と語った。