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武田薬品 事業構造再編で24年度に1400億円 「人員削減」も 23年度決算は営業利益56%減

公開日時 2024/05/10 04:52
武田薬品のクリストフ・ウェバー代表取締役社長CEOは5月9日、決算会見に臨み、2024年度に効率化に向けた事業構造再編費用として1400億円を計上することを明らかにした。全社的に複数年にわたる効率化プログラムを実施する。データやテクノロジーに集中的に投資し、研究開発を効率化するほか、AIの活用による生産性向上、組織改革が柱。ウェバー社長は、「人員削減も含まれている」と明言した。「効率化によって、後期のパイプラインや新製品の上市にリソースを振り向けることが可能になり、インフレの逆風を相殺することができると考えている」と強調。コア営業利益率30%台前半から半ばの達成を目指す考えを示した。

◎「23年度はよく管理されたが、難しい1年だった」 24年度純利益は59.7%減

「23年度はよく管理されたが、難しい1年だった」-。ウェバー社長は、23年度決算をこう振り返った。同社の24年3月期(23年度)決算は売上高が前年同期比5.9%増の4兆2637億6200万円、営業利益は56.4%減の2140億7500万円。成長製品・新製品が12.8%伸びたが、大型品のADHD治療薬・VYVANSEが米国で23年8月に特許切れしたことなどが影響した。「24年度はVYVANSEの米国での独占販売期間満了による大きな逆風の最後の年になる見込み」と説明。24年度の売上高は2.0%増の4兆3500億円、営業利益は5.1%増の2250億円、純利益は59.7%減の580億円と計画した。

◎効率化プログラム デジタルに集中投資で研究開発のコスト削減、開発期間の短縮を実現

こうした中で、ウェバー社長は25年度からの売上高・利益の成長への回帰に向け、複数年にわたる全社的な効率化プログラムの実施に踏み切ったことを説明した。プログラムではデータやデジタル、テクノロジーに集中的な投資を継続し、ビジネスモデルの変革を促す考え。ウェバー社長は、「バリューチェーン全体で効率的に医薬品を開発し、患者に届けていく。このめったにないチャンスを実行に移すため、非常に大胆な手段を講じている」と強調した。研究開発分野ではデジタルやAIの活用で臨床試験における被験者登録や、薬事申請の迅速化を実現。24年1月にFDAが承認したCIDPを対象としたGAMMAGARDLIQUIDは申請資料の一部がリアルワールドデータ(RWD)に基づいており、「RCTにおけるこのアプローチはかなりのコスト削減と開発期間の数年の短縮につながった」と話した。

製造・サプライチェーンでは、ビッグデータやAIを駆使し、センサーやデジタルカメラを活用することで、予知保全の実施、問題発⽣時の根本原因分析および逸脱時の分析にも取り組む。

◎「より機動力のある合理的な組織にしていきたい」 コア営業利益率30%台前半から半ばの達成目指す

効率化プログラムではあわせて、機動的な組織の実現を目指し、組織の階層を減らし、各層の責任範囲を拡大して事業を最適化にも取り組む。ウェバー社長は、「人員削減も少し入っている。部門によっても違うが、より機動力のある合理的な組織にしていきたい」と表明。「パイプラインの優先順位づけによってもいくつかの再編が生じる」と述べた。このほか、調達コストの削減も柱の一つとしている。

プログラムの実施により、25年度からコア営業利益率で、毎年100-250bpsの改善を見込む。これにより、コア営業利益率30%台前半から半ばの達成を目指す。

VYVANSEの特許切れ以降、30年度までは後発品参入の影響が少ないとの見通しとして、「VIVANTの独占販売期間満了という大きな逆風が吹く最後の1年(24年度)があり、その後、このLOEの影響を最小限に抑えた長い期間が待っており、その間に成長製品・新製品から生み出される成長の受けを十分に享受できると考えている」と説明。「24年度の開発パイプラインには高い売上収益が期待できる有望なプログラムが最大6つあると見込んでおり、それらの成功の可能性を最大化するため、厳格な優先順位付けにコミットしていく」と述べた。

【23年度連結業績 (前年同期比) 24年度予想(前年同期比)】
売上高 4兆2637億6200万円(5.9%増) 4兆3500億円(2.0%増)
営業利益 2140億7500万円(56.4%減) 2250億円(5.1%増)
親会社帰属純利益 1440億6700万円(54.6%減) 580億円(59.7%減)

【23年度のグローバル主要製品全世界売上高(前年同期実績) 24年度見込み 億円】
消化器系疾患
エンタイビオ  8009(7027) 9640
タケキャブ/VOCINTI 1185(1087)1330
GATTEX/レベスティブ 1193(931)1330
DEXILANT 453(694)410
PANTOLOC/CONTROLOC  465(455)450
リアルダ/MEZAVANT 291(237) 230
RESOLOR/MOTEGRITY 209(182)230
アロフィセル 35(27)

希少疾患
アドベイト 1229(1182)1820(※24年予想のみ、アドベイトとアディノベイト/ADYNOVIの合算)
アディノベイト 663(666)
ファイバ 405(413)410
RECOMBINATE  121(128)100
ボンベンディ 162(122)200
HEMOFIL/IMMUNATE/IMMUNINE 195(196)220
タクザイロ  1787(1518)-
エラプレース 916(853) 900
リプレガル 736(667)750
ビプリブ  513(484)530
フィラジル  212(246)170
CINRYZE  171(184)150
LIVTENCITY 191(105)300

血漿分画製剤(免疫疾患)
免疫グロブリン製剤  6446(5222) 10%~20%
アルブミン製剤  1340(1214) 1桁台%の成長

オンコロジー
リュープリン/ENANTONE  1074(1113)1110
ニンラーロ  874(927)840
アドセトリス  1094(839)1160
アイクルシグ  547(472)630
ベルケイド  55(278)
ベクティビックス  264(258)280
アルンブリグ  285(206)400
ゼジューラ   142(129)150
カボメティクス  84(79)90
EXKIVITY  35(37)

ニューロサイエンス
VYVANSE/ELVANSE 4232(4593)2250
トリンテリックス 1048(1001)1240
ADDERALL XR  418(286)190
インチュニブ  336(164)360

その他
アジルバ 336(729)100
ホスレノール  135(135)100
QDENGA 96(1)>200%

【23年度の国内主要製品売上高(前年同期比)、億円】
消化器系疾患
エンタイビオ 151(12.0%増)
タケキャブブ/VOCINTI 969(3.6%増)
GATTEX/レベスティブ 80(37.0%増)
アロフィセル 4(204.4 %増)

希少疾患
アドベイト 35(14.7%減)
アディノベイト/ADYNOVI  141(0.7%減)
ファイバ  7(9.9%減)
ボンベンディ 8(52.3%増)
タクザイロ  29(123.2 %増)
エラプレース  6(80.7 %増)
リプレガル 86(2.6%減)
ビプリブ 12(8.6%増)
フィラジル 18(11.6 %増)

オンコロジー
リュープリン/ENANTONE 279 (9.7 %増)
ニンラーロ 66(0.6%増)
アドセトリス 128(1.3%増)
ベクティビックス 264(2.2%増)
アルンブリグ 24(37.9 %増)
ゼジューラ 116(8.9 %増)
カボメティクス 84(5.7 %増)

ニューロサイエンス
VYVANSE/ELVANSE 21 (367.6 %増)
トリンテリックス 108(32.6 %増)
インチュニブ 219 (267.6 %増)

その他
アジルバ 336 (53.9 %減)
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