アステラス製薬 開発中の肺炎球菌ワクチン・ASP3772 導入元の米アフィニバックスに返還
公開日時 2022/03/02 04:49
アステラス製薬は3月1日、新規の肺炎球菌ワクチン・ASP3772(開発コード)について、導入元の米アフィニバックス社に返還すると発表した。同社はフォーカスエリア・アプローチの考え方に基づいて選定した「プライマリ・フォーカス(Primary Focus)」に重点的に研究開発投資を行う方針。今回の返還は「研究開発の戦略的な優先順位付けに基づく判断」としている。
同社は、視力の回復や維持を実現する新たな治療選択肢を提供する細胞医療を含む「再生と視力の維持・回復」、ミトコンドリア置換療法などの開発に取り組む「ミトコンドリアバイオロジー」、「遺伝子治療」、「がん免疫」をプライマリ・フォーカスに据える。
◎蓄積したデータはアフィニバックスにライセンスアウト
同社はASP3772の開発を米国でフェーズ2まで実施。蓄積したデータやノウハウをアフィニバックス社に導出するライセンス契約を締結した。これにより、同社は契約一時金6500万ドルのほか、ASP3772の臨床開発・商業化の進捗に応じたマイルストンやロイヤルティを受け取る。また、アフィニバックスが創製する次世代肺炎球菌ワクチンの売上に応じたロイヤルティも受け取る。
ASP3772は、アフィニバックス独自の多重抗原提示システム「MAPS」(Multiple Antigen Presentation System)技術を利用して創製された。肺炎球菌に対し、B細胞とT細胞による免疫防御が誘導されるよう設計されている。第2相臨床試験では忍容性が確認された。また24種の肺炎球菌血清型に対する抗体免疫応答のほか、肺炎球菌タンパク質に対する抗体の応答も示した。ASP3772は米FDAから、50歳以上の成人における肺炎球菌感染症の予防の適応でブレークスルーセラピーに指定されている。