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創薬・先端医療WG バイオの国産化で官民投資ロードマップ具体化へ 抗体含む生産体制強化、CDMO活用を

公開日時 2026/02/27 04:51
政府の日本成長戦略会議創薬・先端医療ワーキンググループは2月26日、官民投資ロードマップ策定を見据え、「健康医療安全保障の構築」をテーマに議論した。抗体医薬などバイオ医薬品の市場が成長する一方で、国内生産比率は低く、輸入効果に陥っている。この状況を覆すために、“バイオ技術関連製品の国産化”に向けて、CROやCDMOの強化や、連続生産などの技術強化を訴える声が相次いだ。鈴木隼人内閣府副大臣は、官民投資ロードマップ策定に当たり、バイオ技術応用製品に関するロードマップの具体化を進める方針を表明。「抗体を含む生産体制の強化、CDMOの活用などを施策して盛り込み、国産化、サプライチェーン強靱化を進める」考えを示した。

◎バイオ技術関連製品の国産化、感染症対応製品の確保がスコープに

創薬・先端医療ワーキンググループでは、「医薬品関連産業・日本経済成長の実現」、「健康医療安全保障の構築」を目標に掲げ、①ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品の創出、②バイオ技術関連製品の国産化、③感染症対応製品の確保-について議論を進める。
目標に対して、どのような戦略・手段で実現していくかのアプローチ、日本の勝ち筋に向けた議論を進める。

◎富士フイルム・山本構成員「CRO、CDMOの強化は、創薬産業エコシステムの確立に直結」

この日の議論では、健康医療安全保障の構築に向けた医薬品の製造体制とサプライチェーンについて議論がなされ、CROやCDMOの強化と、感染症対応製品に焦点が当たった。

山本武構成員(富士フイルム執行役員)は、「国内に拠点を有するCRO、CDMOの強化は、創薬産業エコシステムの確立に直結し、それは日本の成長戦略そのものだ。「日本発の価値の高い医薬品を数多く創出すること、輸出することで輸入超過の状況を反転させていける
と強調した。また、「それが国内サプライチェーンの強靭化となり、経済安全保障対策となる」との考えを示した。

バイオ医薬品の市場はグローバルでは成長する一方、「その成長が日本国内の生産や投資に結びついていない。この構造を何とか変えていきたい」と強調。「創薬だけでなく、 CRO、 CDMO といった創薬支援産業の役割は非常に重要だ。創薬支援産業が育つことによって、アカデミアやバイオベンチャーの有益な研究成果をグローバル治験、CMC、商業生産へと橋渡しできる可能性が高まる。具体的には、伴走支援型の CROの強化やグローバル基準の CDMO のサービスの実装が必要だ」との考えを示した。CDMO については、「次世代も見据えたバイオ医薬品生産技術の実装が重要」と指摘。これらを進めるために、「高度人材の育成が喫緊の課題だ。将来を担う国内の中核人材の海外派遣や海外高度人材の国内招へいを積極的に取り組む必要がある」と人材の必要性を強調した。

◎連続生産やAI/DX活用モデルの実現が日本の差別化に

日本が勝ち筋を見出すためには先進技術による差別化の可能性があることも指摘した。具体的には、連続生産やAI/DX活用によるプロセス開発期間の短縮、均一生産の実現をあげた。山本構成員は、ADCや多重特異性抗体、 遺伝子・細胞治療などモダリティが高度化する中で、「日本が技術的に十分に勝負できる領域だ」と指摘。「次世代のバイオ医薬品に適した連続生産方式の技術開発から生産施設の導入までを、官民で協力して投資していく必要がある」と述べた。また、AIとDXの活用で、開発期間の短縮や生産ステージでの品質の安定、収率の向上が期待できるとの考えを表明。「これらを成功に導くカギは、データフォーマットの標準化と質の高いデータの活用だ。官主導で横断的に推進していくことが重要」との勧化を示した。

◎藤本構成員 CRO、CDMO育成で「研開の委託費補助、税制控除など優遇措置を」

藤本利夫構成員(アイパークインスティチュート代表取締役社長)は、創薬力強化に向けて、国際水準の治験体制やFIH体制の整備が挙げられている中で、「国内CROやCDMO を育てていくことが、研究開発の実行力と製造力の両方を国内に確保し、FIHと新規モダリティ開発を遅延なく進めるためにも、さらに海外依存による遅延や供給リスクを下げるためにも重要だ。また、再生医療などに強い CRO や CDMO が育てば、海外の技術やスタートアップを日本に呼び込む力にもなる」とメリットを列挙した。

そのうえで、「今後、国が日本発スタートアップの支援を行う際には、国内 CRO や CDMO が成長する機会にも役立つような制度を整えるべきだ。具体的には、他国における国内 CRO、CDMO への優遇措置の現状をきっちりと調べた上で、国際的にフェアなレベルで、日本も国内企業に対し、研究開発の委託費補助、R&D税制の上乗せ控除など、優遇措置を考えていく必要があるのではないか」と述べた。

◎志鷹構成員 抗体医薬品製造を「経済成長」×「健康医療安全保障」の戦略基盤に

志鷹義嗣構成員(RealizeEdge Partners代表取締役社長)は、「抗体の製造能力と人材が国内に十分集積しておらず、成長市場を十分に取り込めていない」と指摘。抗体医薬品製造を「経済成長」×「健康医療安全保障」の戦略基盤とすることを提言した。「抗体医薬品は、経済成長と健康用安全保障の双方で重要性が増大している。安全保障を起点に、先端製造と需要設計を国が支え、供給実績をインセンティブに連動させることで、安全保障投資が経済成長に転じる」との見方を示した。

◎宮柱構成員 海外から国内CDMO切り替えで製薬企業にインセンティブを

宮柱明日香構成員(武田薬品ジャパンファーマビジネスユニットプレジデント)は、「現在、バイオシミラーの使用促進も進められているが、これと同時にバイオ医薬品製造の国内基盤を強靱化する取り組みを一体的に進めるべきだ」と改めて強調した。そのうえで、「ただ、単に国内に製造拠点を整備するだけでは不十分だ」と指摘。製造を委託する製薬企業の立場から「例えば海外から国内の CDMO への製造委託の切り替えを検討する際の動機付けになるような、何らかのインセンティブ、あるいは仕組み、そうしたものを設ける必要があるのではないか」と述べた。

◎連続生産などの効率的な生産体制構築、人材育成、後発品再編も

感染症対応製品をめぐっては、「プル型インセンティブ」の必要性を指摘する声があがった。鈴木内閣府副大臣は官民投資ロードマップ策定に向けて、「安定供給の不確実性が高まる感染症対応製品について、感染症危機対応医薬品等、抗菌薬、また免疫グロブリンなどを対象に原材料の確保、また連続生産など新しい技術を取り込んだ効率的な生産体制の確立を盛り込むこと。また、海外との連携強化を図り、成長につながるものとすること」を事務局に指示した。また、「製造人材の育成や足下の供給を支える後発医薬品の業界再編も視野に入れていただくこと」も求めた。

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