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APAC アジアで効率的なGMP査察で課題検討を継続 各国間の提出要求基準に違いも

公開日時 2022/04/07 04:49
サプライチェーンのグローバル化が医薬品の安定供給の課題となっている。アジアでのGMP査察状況について海外製造所におけるGMP査察実施/免除の判断基準、GMP査察書類や記録の提出要求基準に違いがあることが明らかになった。第11回アジア製薬団体連絡会議(APAC)後に開かれた4月6日の会見で、報告された。APACでは今後さらに調査を進め、PIC/SやMRA(相互承認協定)に基づき、効率的なGMP査察を実施するための課題検討を継続する。

会見で、APAC実務者会議の三輪敏紳議長は、「GMPは破綻すると健康被害に直接つながる。規制当局も他人任せにはできないということがアンケートでは浮き彫りになった。我々は規制当局の間で免除、ならびに必要とする文書の違いを明らかにできた」と説明した。一方で、製薬企業にとっては、各国の規制の違いに対して疑問があるケースもあり、個々に対応している状況だとした。このため、当初は調査の効率化を協議することを見据えたが、各国の事情もあり足並みを揃えることが困難であると判断したという。

ただ、議論のなかではフィリピン当局から、「信頼できる規制当局の調査結果を自国の調査結果に利用していこう、という発言があった」と説明。PIC/Sなどの国際的なコンソーシアムや政府間の協議などで、「今後さらに効率化されていくことを望んでいる」と述べた。

◎次の10年に向けて「イノベーションを届けるプラットフォーム構築」をテーマに議論


APACは、革新的な医薬品をアジアの人々に速やかに届けるために、国際製薬団体連合会(IFPMA)加盟のアジアの研究開発型製薬13団体が中心となり、規制当局やアカデミアが一同に会して建設的な議論を行っている。第11回APACでは、「APAC次の10年に向けて、アジアの人々に価値あるイノベーションを届けるプラットフォームを構築する」ことをテーマに実施された。

◎製薬協・岡田会長 ミッション実現には各国製薬団体の協力が不可欠

日本製薬工業会(製薬協)の岡田安史会長は、「新型コロナは医薬品産業に多くの課題を突き付けている。ワクチンのグローバルな供給がパンデミックの終息に欠かせないことを改めて私たちは認識した」と説明。政府は昨年6月に「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を閣議決定。先進7か国(G7)首脳は6月に、ワクチン開発や治療法の確立にかかる期間を100日以内に短縮することを盛り込んだ宣言(100日ミッション)に合意している。岡田会長はこうした状況に触れ、「ミッションを実現するためには国際的治験ネットワークを活用したワクチン開発環境の整備、治療薬も含めた製造、調達など、国内のステークホルダーだけでなく、各国の製薬団体が協力して課題に立ち向かっていくことが大切であると認識している」との考えを表明した。

会議では、①創薬連携、②規制・許認可、③添付文書の電子化(e-labeling)、④MQS(製造・品質管理・供給)、⑤aUHC(ユニバーサルヘルスカバレッジ)-について議論した。

創薬連携では、東北メディカル・メガバンクなどの事例が紹介された。「世界人口の50%はアジアに住んでいることから、アジアにおけるRWDの活用やプレシジョンメディシンの推進は極めて重要であるが、課題も存在する。課題を明確にするとともに、産業界がリードする取り組みによる課題解決を検討する」ことに合意した。

岡田会長は、「人種的にも同じ遺伝的背景を持つ地域なので、利活用できる基盤を配慮しながら活用できることで、日本を含めアジアの国々がプレシジョンメディシンをリードできるのではないかと私自身は将来像を描いている。議論は、緒に就いたところだ」と述べた。


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