PhRMA会員企業 女性疾患治療薬625剤を開発
公開日時 2022/04/18 04:49
米国研究製薬工業協会(PhRMA)の会員企業は、女性特有の疾患ならびに女性の罹患率が高い疾患の治療薬を合計625剤(申請中含む)開発中であることがわかった。PhRMAが3月31日に公表した「開発中の新薬2022年、女性に影響を与える疾患の薬剤600剤以上を開発」(Medicines in Development 2022 Report: More than 600 medicines in development for diseases impacting women)で報告した。
女性のがん死亡として2位である乳がんだが、イノベーションにより、1989年から2019年には42%減少したとPhRMAは指摘している。また、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンにより、同ワクチンが接種開始されて以降、10代の女性では86%、若い女性では71%、感染率が低下したとしている。
PhRMA会員企業が開発中の主な薬剤は以下の通り。
▽抗がん剤200剤。内訳は乳がん119剤、卵巣がん66剤、子宮がん4剤、子宮頸がん22剤など。これら4種のがんのみで2022年には7万6000人が死亡すると見込まれている。
▽神経疾患治療薬133剤。内訳はアルツハイマー病90剤(現在、同疾患患者620万人の3分の2は女性)、片頭痛13剤(2900万人の米国人が罹患、4分の3は女性)、多発性硬化症25剤(女性の罹患率は男性の3倍)。
▽不安障害、うつ、分娩後うつおよび摂食障害など精神疾患治療薬45剤(不安症、うつおよび摂食障害に悩む女性は男性の約2倍である)。
▽気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など呼吸器疾患治療薬43剤(いずれも女性が不均衡に多い)。
▽関節および筋骨格系疾患治療薬37剤。内訳は、線維筋痛症5剤(患者の3分の2は女性)、骨粗鬆症4剤(女性の2人に1人が罹患、同患者の80%が女性)、関節リウマチ28剤(罹患率は男性の3倍)。
▽ドライアイなど眼疾患34剤(女性はホルモンの変動により眼疾患を患いやすい)。
▽子宮内膜症、閉経後症候群、多嚢胞性卵巣症候群、妊娠合併症および子宮筋腫など産婦人科疾患33剤。
▽カンジダ症、クラミジア、陰部ヘルペスおよび尿路感染症23剤。
▽慢性疲労症候群、間質性膀胱炎、過敏性腸症候群(IBS)および尿失禁治療薬14剤(各疾患とも不均衡に女性が多い)。