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フェリング・津村社長 泌尿器と消化器の「スペシャリティフランチャイズ」を強化、MR増員も

公開日時 2022/09/28 04:51
フェリング・ファーマの津村重吾社長CEOは9月27日、本誌インタビューに応じ、社内組織をリプロダクティブ・ヘルス(不妊症と産婦人科)とスペシャリティの2つの事業部制に再編したことを明らかにした。同社はこれまでリプロダクティブ・ヘルス、泌尿器科、消化器科を重点3領域と位置付けてリソースを集中してきたが、泌尿器科と消化器科を「スペシャリティフランチャイズ」と呼称する事業部に再編した。MR数は現在約40人で、2つの事業部に概ね半々に配置している。津村社長は潰瘍性大腸炎や膀胱がんを対象疾患とする新薬の開発成功と23年以降の上市を見据えて、「スペシャリティ」のMRを今後増員する考えを示した。

◎「20年後の日本社会に貢献する仕事ができる」

津村氏は7月11日付で同社社長に就任した。伊藤忠商事、ソニー、グラクソ・スミスクライン、ノバルティスでキャリアを重ね、直近ではノバルティスのフィリピン法人社長・マネージングディレクターを務めた。製薬業界では15年の経験がある。

今回、フェリング日本法人社長を引き受けた理由について津村氏は、「日本の少子化問題はナショナルアジェンダ」とした上で、「生殖医療のグローバルリーディングカンパニーであるフェリングに入ることで、20年後、30年後の日本社会に貢献する仕事ができると考えた。社会に貢献できる生殖医療の医薬品を持つ企業は、なかなかない」と話した。日本社会の将来に貢献できる使命感を社員も感じていると言い、社員のモチベーションの維持・向上と自己実現をサポートすることにも意欲をみせた。

グローバル及び日本法人の具体的な数値目標は非開示。ただ、日本法人の「個人的な目標」としてフェリンググループの中の日本法人の売上シェアで「6.5%を超えること」を掲げた。これは世界に占める日本の医療用医薬品市場シェアと同水準となる。なお、日本法人のシェアは現在5%弱だという。フェリングの21年12月期売上は21億6200万ユーロ(前期比11%増)のため、日本法人の売上は1億ユーロ前後とみられる。

◎不妊症・産婦人科 オムニチャネル型情報活動を強化 MR増員予定なし

津村社長は重点3領域に今後もリソースを集中するとした上で、9月1日付で、不妊症や産婦人科にフォーカスする「リプロダクティブメディスン・マターナルヘルスフランチャイズ」と、泌尿器科と消化器科にフォーカスする「スペシャリティフランチャイズ」の2事業部制に再編したことを紹介した。リソース配分の最適化と、泌尿器及び消化器の開発後期品の進展が理由となる。

不妊治療は今年4月に保険適用され、コロナ禍による受診控えも少なくなり、不妊治療の患者数は増えている。25年までの不妊治療薬市場の年平均成長率が20%前後との市場調査会社の分析もある。津村社長は、「当社としても市場成長率と同程度の成長を目指す」としたものの、リプロダクティブメディスンの体制は「大きく変えるつもりはない。MRの増員予定もない」と明言した。一般・患者向けのネット情報に加え、医師や看護師向けのオムニチャネル型情報活動を強化し、「情報提供活動の生産性を上げることで対応したい」と述べた。

◎スペシャリティ 潰瘍性大腸炎治療薬はP3 膀胱がん治療薬はP3準備中

「スペシャリティ」では、軽症~中等症の潰瘍性大腸炎治療薬・ブデソニド(開発コード:FE999315)は第3相臨床試験段階(7月6日時点)にあり、筋層非浸潤性膀胱がんに対する遺伝子治療薬・rAd-IFN/Syn3(FE999326)は年内に第3相臨床試験を開始するための準備段階にある。

同社はこれまで、泌尿器及び消化器の領域はパートナー企業と事業展開してきた。今後上市する新薬については、「必ずしもパートナーありきではない。患者のプロファイル、医師のプロファイル、市場規模などを総合的に考えて、1人でも多くの患者に当社製品を届ける最適な方法に決めたい」と表明した。新薬上市が相次ぐことを見据えて、「スペシャリティ」ではMRを含む組織を今後拡大させる意向も示した。

◎「外部環境の変化に敏感に対応し、その変化をいとわない」MRを求む!

MR採用にあたっては、「疾患領域の知識や経験も大事」としたものの、「私が一番大事と思うのは、業界の外部環境の変化に敏感に対応し、その変化をいとわないということ」と強調。「そのような方に将来のフェリングを担ってもらいたい」と話した。

◎オムニチャネル型活動の精度向上のカギは“MR”

このほか、津村社長はオムニチャネル型情報活動におけるMRの役割にも言及した。「当社はリプロダクティブ・ヘルス、スペシャリティともに、正しい顧客に、正しいメッセージを、正しい方法で、正しいタイミングで届けたいと考えている」と述べ、これを実現するためには日頃から医師と接し、医師の情報ニーズを把握しているMRがカギを握るとの見方を示した。そして、オムニチャネル型情報活動をオーケストラに例えて、「MRはオーケストラの精度や質に影響を与える指揮者のような役割を担う必要がある」と強調した。MRが医師のニーズを正確に把握し、次の打ち手につなげる役割を担うことの重要性を指摘した格好だ。津村社長は、“指揮者のような役割”をMRの活動評価に今後組み込むことを検討する構えもみせた。

インタビューの詳細(一問一答記事)はミクス22年11月号に掲載予定です。
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