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物価高騰影響で安定確保必要な医薬品696品目が不採算に GEで原価率高く 厚労省有識者検討会に報告

公開日時 2022/10/24 04:53
安定確保の必要性が特に高いと考えられる品目のうち、物価高騰などの影響で不採算なのは696品目(94社)-。厚生労働省が10月21日の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大経済学部教授)に調査結果を報告した。特に後発品は原価率が高く、製造原価が6~8割を占めているとのデータも示した。坂巻弘之構成員(神奈川県立保健福祉大大学院教授)も、「非常に原価率が高くなっている製品が多いことは理解した。今後、薬価改定等の議論で参考にすべきではないか」と述べた。

物価・エネルギー価格の高騰と為替変動の影響が喫緊の課題となるなかで、厚生労働省は、日本製薬団体連合会宛てに事務連絡を発出し、調査を実施した(関連記事)。調査期間は、9月8~30日。①物価高騰や為替変動の影響等により現在不採算となっている品目、②安定供給の確保の必要性が特に高いと考えられる品目(安定確保医薬品(カテゴリ―A~C)、基礎的医薬品、その他これまでの学会要望等から、特に医療上の必要性が高いと思われる品目のいずれか)、③同一成分・規格内において一品目が高いシェアを占めているなど、特に安定供給に支障を来しやすい品目(一社のみ供給品、最終後発品等を含む)-のすべてに該当する品目を対象に調査を実施した。

その結果、安定確保の必要性が特に高いと考えられる品目のうち、696品目(94社)が物価高騰などの影響で不採算となっているとの回答を得た。なお、医薬品全体は1万3370品目(薬価基準告示ベース)、998社。不採算品目の内訳は、基礎的医薬品209品目、安定確保医薬品カテゴリ「A」が61品目、「B」が18品目、「C」が268品目だった。剤形別にみると、注射剤が353品目で最多。内用剤が172品目、外用剤が171品目だった。影響としては、「有効成分・賦形剤等、原料費の高騰」が516品目、「容器包装、原材料費の高騰」が454品目、「製造経費(エネルギー)の高騰」が450品目、「為替変動(円安)の影響」が351品目などだった。

◎GE薬協加盟30社 製造原価率が対薬価80%超の品目数3割超

同日は、日本ジェネリック製薬協会(JGA)加盟社の製造原価率についての調査結果も報告された。調査に回答した30社のうち、薬価に対する製造原価率が80%超の品目数は3割を超え、半数程度の品目の製造原価率が60%超であることがわかった。

製造原価率が80%超となったのは、後発品として収載されている品目全体の30.3%(1632品目/5378品目)だった。安定確保医薬品のカテゴリ「A」では37.8%(28品目/74品目)、「B」では57.1%(8品目/14品目)、「C」では31.8%(554品目/1741品目)、基礎的医薬品では19.4%(36品目/186品目)だった。後発品をめぐっては、原薬は半数以上が海外から購入していることも示されており、物価・エネルギー価格の高騰や、円安などの為替変動がビジネスを直撃しているとの声もあがっている。

◎井上構成員 為替問題に国の支援の必要性を指摘「一つ短期的な対応としてあるだろう」


検討会で井上光太郎構成員(東京工業大工学院長)は、「産業構造を変えていくという話は、かなり中長期の話であって、いまの為替問題や安定供給の問題のように短期的に対応するというのは非常に難しい」と指摘。サプレイチェーンの情報インフラなどについて、国の支援の必要性を指摘。「まず一つ短期的な対応としてあるだろう」と述べた。

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