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国循 心不全患者への外来心臓リハ施行で再入院を減少 心不全薬物治療の継続割合が高まる NDB解析

公開日時 2022/12/06 04:51
国立循環器病研究センターは12月5日、心不全の入院患者に対する外来心臓リハビリテーションの施行は心不全再入院を減少させ、1年後の心不全薬物治療の継続割合が高まるとの研究結果を報告した。レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて心不全患者の予後改善や再入院の状況などを調べた。外来心臓リハビリテーション施行群は非施行群に比べて、外来医療費は増加したものの入院医療費は減少し、総医療費の増加はみられなかった。研究結果はEuropean Journal of Preventive Cardiologyオンライン版に掲載(12月2日付)された。

同研究は国循・情報利用促進部の金岡幸嗣朗上級研究員、岩永善高部長、奈良県立医科大学の今村知明教授らのグループが行ったもの。2014年度から2019年度に心不全で緊急入院し、かつ、入院中に心臓リハビリテーションを受けている患者を対象とした。退院後150日以内の外来心臓リハビリテーション施行の有無で患者を2群にわけ、全死亡を主要エンドポイントとした。また、心不全再入院、退院1年後の心不全に対する薬物治療内容、退院1年半の医療費を副次エンドポイントとして設定し、交絡因子を調整し、解析を行った。

◎NDB解析 1年後のβ遮断薬などの心不全薬物治療の継続割合が高い

対象とした心不全の入院患者は25万528人で、うち1万7884人(7.1%)が外来心臓リハビリテーションを受けていた。心不全患者の予後改善、心不全再入院をNDBを用いて解析したところ、外来心臓リハビリテーションの施行は、全死亡の減少、心不全再入院の減少と関連していた。また1年後のβ遮断薬などの心不全薬物治療の継続割合が高いことも分かった。さらに、外来心臓リハビリテーション施行群では、非施行群と比較して、外来医療費は増加していたが、一方で入院医療費は減少しており、総医療費の増加はみられなかった。

◎心不全患者への心臓リハは、「医療費の観点からみても推奨されるべき」

日本国内において心不全患者数は近年増加傾向にあり、再入院を繰り返すことが知られている。一方で、心不全患者に対する包括的心臓リハビリテーションは、身体機能の改善や再入院の減少と関連することがこれまでの研究で示されていた。研究グループは今回の結果について、「外来心臓リハビリテーションの施行は、心不全患者の死亡や再入院の減少と関連していることが示された。さらに、心不全患者に対する心臓リハビリテーションの施行は、医療費の観点からみても、推奨されるべき治療法であることが分かった」と強調。「一方で、外来の心臓リハビリテーション施行割合は依然として低い」と指摘し、施行割合を増加させる必要性が示唆されたと結論付けた。
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